第9話
「そう言えば、お前この頃、ちゃんと寝られているのか?」
会社に戻り、草津千里に謝罪し、改めて会議室で、仕事の事を話していると、突然草津が仕事とは、違う話を振ってきた。
「はぁ?」
「だから、お前なんかここ数日、よくぼっとしているだろう?」
草津千里(23)とは、同期入社で、同い年であることから、ことあるごとに、所長命令で組まされる。
そのせいもあって、昴ほどではないが一応信頼している。
勿論、昴みたいに、完全に信用している訳ではないが、一緒にいても別に苦にならない。
それでも、渚が信じているのは、あくまで自分自身だけ。
最も信頼を置いている鳴海坂昴でさえ、古閑美緒を取り戻すためだけの駒に過ぎない。
「……誰のせいで、こうなったと思っていんだよ!」
「……なんの話しだよ?」
草津には、意味が解らない。
「お前だよ! 草津!」
渚は、なんのことが解っていない草津を指差す。
「なんで俺が、お前の寝不足に関係してくるんだよ!」
いきなり、「原因はお前だ!」と名指しで指名された草津は、益々意味が解らなくなる。
「……お前さぁ? 茉莉川杏奈と同居しているだろう? かわいい後輩との同居が嬉しいからって、彼女使って、俺に自慢話させるなよ?」
「えっ?」
確かに、茉莉川杏奈とは、交際しているし、なんなら、昨日から同居を始めた。
だが、自分達の関係を会社に人間に伝えていない。
それどころか、杏奈にそんなこと頼んでいない。
それに、杏奈は、自慢話とか、そういう類が大嫌いなはず。
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