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渚が、休憩室をあとにした向かったので草津が待つ、会議室ではなく、
事務所近くにあるマンションの一室だった。
※場所は、事務所から一本路地に入った場所。
「今日は、また一段と大きなため息ですね?」
部屋の中(リビング)に入ってきた渚を飲み物を運んできた住人(男性)が笑顔で迎える。
「しょうがないだろ! あそこじゃあ? 俺は、どこにでもいるただの雇われ社員ながら!」
「そうですね? あそこでの貴方は、ただの真面目な好青年ですからね?」
「ただは余計だ! それよりも奴の素性は、把握できたか?」
自分のことを迎い入れた男性に対して文句を言いながら、本来の目的を告げる。
「はい。こっちらがその資料になります」
男性の方も、渚のそんな言葉を気にすることなく、資料が入ったファイルをテーブルの上に置く。
渚は、テーブルの上に置かれたファイル(資料)に手を伸ばそうとしたが、
「ありがとう。って?」
「ん? どうかなさいました?」
急に黙り込んでしまった渚に対して、心配そうに声を掛ける。
「別に? ってか? お前こそ、何て格好でいんだよ! それに、その話し方! 今すぐやめろ!」
渚は、自分の目の前にいる黒の燕尾服(※手袋、黒の革靴、銀縁眼鏡)を着た男性……鳴海坂昴に対して何て格好でいるだと声を掛ける。
すると、そんな渚の一人ボケ&ツッコミに、銀縁眼鏡、勿論伊達眼鏡の鼻フック部分を右手で触りながら、
「はぁ? 渚ってさぁ? 本当、昔から頭固いよねぇ? 青春は一瞬なんだから、楽しまないと。って? 聞いている?」
「……」
一体こいつは、なにを言っているのかと言わんばかりの視線を昴に向ける。
「はぁ? お前、本当! 美緒ちゃん以外の人間に興味ないよなぁ?」
自分の言葉に、返事どころか表情すら変えない渚に、昴は、これ以上なにを言っても無駄だと思い、本来の口調に戻り、話しを進めることにした。
「で? この……岡宮永輝は、お前になにかしたのか?」
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