メメントモリ
灰都
モメント編
第1話 最期
あなたはこの世界に愛されなかった。
それでもあなたはこの世界を嫌いにはなれなかった。
あなたが私のことをまだ想っているなら。
私はあなたをずっと待ち続ける。
だから………
いつかあなたが愛を見つけれますように。
――――――暗い。冷たい。苦しい。なんで…
嫌だ、まだ死にたくない。まだ、まだ死ねないのに。楽になんてならなくていいから。
まだ、俺は……
【[静岡で殺人か。海に落とされ死亡。享年17才。]
何者かの手で絞殺されてから海へ突き落とされた模様。首には縄のあとがあったため、怨念の強い犯行だと思われている。警察は学校や家庭に範囲を絞って捜査を進められている………】
「そうか。世間ではそうなっているのか。」
そう言って空中に浮いたタブを閉じる。
ここは雲の上。……………あの日俺は死んだ。
多分犯人は……いや、よしておこう。
いまはなぜかもう一度生きるチャンスをもらえるらしく、ここに残っている。
「ありがとうございます。女神様。」
俺は目の前の女性に感謝をした。
「うん。大丈夫よ。」
彼女は女神様らしい。背中には大きく、ゆきのように真っ白な翼が輝いており、純白のドレスを身に着けている。今は俺がどういうふうに世間に伝わっているのか確認していたのだ。
「犯人の方は知らなくていい?」
女神様が聞いてくる。
「ええ。大体の見当はついてますから。」
俺がそういうと、女神様は悲しそうな顔で俯き、
「そう。」
と返した。
「それで、僕はこれからどうしたらいいんですか?」
すると女神様は神妙な顔でこっちを見て言った。
「君はどうしたい?」
付け加えるように説明をされた。
「これからもう一度この世界を生きることができるし、転生ってのもできる。次も柊遥として生きるか、違う人として生きることもできるわ。」
「色々オプション的なのがあるんですね。」
「まぁそこはね。私は君のためにここにいるから。」
?どういうことだろう。
首をかしげている俺を見て、女神様はくすっと笑って言った。
「まぁ今のは忘れてくれて構わないわ。」
――――「それじゃあ行くわよ。」
少し離れた場所で、女神様が俺に向かって杖の先を向ける。
「お願いします。」
俺は異世界に俺のまま、柊遥としていくことに決めた。何が待ってるか分からないから面白そうだったからだ。
「うん。あ、分かってると思うけど向こうは言語とかは違うけど君は理解できるようになってるから。」
「はい、分かってます。」
次の瞬間目に光が飛び込んできた。それと同時に方向が分からなくなって、目の前が暗くなる。
「さようなら、遥。」
「ありがとうございました。女神様。」
別れを告げると、女神様の気配が消えた。
俺は飛ばされたことを悟った。
彼は飛び立っていった。
私のことは最期まで女神様と言っていた。
「……気づいてたくせに。」
彼の飛んでいった方向を見つめる。
「いってらっしゃい。遥。」
私はいつまでも待ってるから。
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