第17話 雷雲地帯の精霊戦
第17話 雷雲地帯の精霊戦
「愚か者どもが……!」
雷雲の中心、空間ごと震わせるような声が響いた。電撃をまとった半透明の女性が宙に浮かび、周囲の空気は焦げるように張り詰める。
「我に挑むか、下賤な者たちよ――その蛮勇、雷霆の裁きで打ち砕こう!」
雷雲地帯の核に戻ると、びりびりとした電撃を纏った半透明の女性がいた。
こいつだ。こいつにリベンジしに来たんだよ。
俺たちは、雷雲地帯の核のゾーンに戻ってきた。
そもそも俺は雷雲地帯の核の不自然な攻撃に疑問を抱いた。だって自然現象で雷の塊が襲い掛かってくるなんてありえないからな。
だから人為的な何かの仕業だと考えたわけだ。リリスに聞いてみると空島には稀に雷の精霊が出現するという話を聞いた。
その精霊を倒せば、何か雷のスキルや魔法がもらえるんじゃないかと思ったわけだ!
そのスキルを使えば、出遅れた分を取り戻せるかもしれない。
そんな気持ちでこの作戦を提案した。
「妾たちがコケにされてるぞ! 許せぬ!」
「あの時は勝ちんたちを守るために、攻撃を食らったけど次はそうはいかないよ!」
「俺たちのレースの運命がかかってる! 絶対勝つぞ!」
「おう! なのじゃ!」
「勝つよ!」
雷の精霊は電撃を体に溜めながら、暴風を作り出した!! そして電撃をこちらに向かって打ち出す!
「っ! 避けろフェン!!」
「先ほどの妾は不覚をとったがもう負けぬぞ!」
上級風魔法「ウィンド・クラフト」の緑色の翼に魔力を大量に送るフェン。
それはもはや、そよ風の「ウィンド」ではなく竜巻クラスの「ストーム」だった。
「おおおおお! 上級風魔法『ストーム・クラフト』なのじゃ!!」
翼に立体的な毛が生えて、緑色だったのが、白銀色になっている。天使の羽と言われてもうなずくくらいだ。
フェンと俺に目前に迫る電撃を直前でかわして、雷の精霊の裏に回る!
「なっ!! 速い!!」
雷の精霊が驚いているうちに、フェンと俺は突撃して風魔法を纏った爪で攻撃する!
「ストーム・クロス!!」
両方の爪でクロスするように斬撃を放つと精霊に命中した!
「ぐわああああああああああ!!」
精霊が苦しんでいるうちに、リリスも負けじと攻撃する!
「フェンちんに負けないよ! ボルカニック・ウィンド・ブレス!!」
リリスは龍形態で大きく息を吸い込むと、風の暴風を口から吐き出す!!
雷の精霊は少しの間、踏ん張っていたがダメージが大きかったのか雷雲の核の雲の壁にたたきつけられた!
「フェン、とどめだ!!」
「任されたのじゃ! スキル『神速』発動!!」
白銀色の翼がさらに白く純白になり、暴風がまとわりつく!!
「妾は雷霆を統べる風神の狼――その名に誓い、神速を超えん!!」
フェンの白銀の翼が輝きを増し、まるで時空を裂くかのような音が響いた。純白の光が一瞬の閃光となり、精霊へと突き進む。
「行けえええええええええ!!」
「おおおおおおおおおお!!」
風神と化した神速の突撃が純白の光が瞬く間に精霊を襲う!!
「ぐおおおおおおおおおおおおお!! こんな愚か者にまけるとはあああああああああ」
雷の精霊の半透明の体にひびが入り、どんどんと割れ目が広がる。
「まさか、この私が……弱き者たちに敗れるとは……」
精霊はかすかな笑みを浮かべ、雷光がその姿を包み込む。
「だが、汝らの絆と勇気――確かに見届けた。我が雷霆の加護を授けよう。せいぜい、その力を無駄にするな……!」
雷の精霊はそれだけ行って消えていった。雷雲の核も精霊が消えた途端、黒雲が見る見るうちに消えていき、輝かしい太陽が現れた。
「勝ったのじゃ!!」
「やったよ!」
「勝てたぞ! 言っただろ! フェンの『神速』を使えば余裕で倒せるって!」
「じゃが、これで使えるのはあと一回……いや、回数制限がなくなっておる!!」
「ぷぷー!! 大人の営みをしたおかげかな?」
「うるさいのじゃ!!」
俺とフェンとリリスは笑いながら、今この瞬間を楽しんだ。
これで雷の加護とスキルを使えば、レースの展開に追いつける!!
俺たちの絆はさらに深まった気がした。
「これで俺たちは追いつける! ――いや、追い越すんだ!!」
勝がそう叫ぶと、フェンとリリスも笑みを浮かべ、ゴール地点に向けて飛び立った。
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