第6話 守護者との戦闘
門がゆっくりと開き、明るい広場の中心に巨大な石像が見える。その石像は人型で、古びた装飾が彫られた盾と剣を手にしている。目が光り始めた瞬間、地面が振動し、守護者が動き出す。
「フェン来るぞ!!」
「わかっておる!!」
石像は緩慢な動きで剣を上から石の床にたたきつける! すると石の床に剣がぶつかった途端、衝撃破が3人を襲う。
俺は衝撃波を避けようとしたが、剣が床に当たった衝撃で思うように動けずうずくまってしまった。
だが衝撃波が当たる瞬間、狼化したフェンの口にくわえられ、避けることができた。
ハルは笑いながら軽やかに跳躍してかわしていた。
いつもの調子で叱責されるかと思いきや、優しい目で見つめられ、主人、大丈夫か? と言われてしまった。
「お、おう。すまん」
なぜか軽口で返す気にもならず、フェンの純粋に心配する目にやられてしまった。いや、ドキッとしてしまった。
どうしたんだ、俺と思いつつ、フェンに優しく降ろされた。
「なあ主人、昔の主人にやはり似ているのじゃ」
「昔にもこういうことがあったのか?」
「それは……秘密じゃ! 主人は下がっておれ!」
俺はフェンの言葉にうなずきそうになったが、少し考える。
俺には「鑑定」と「ギャンブラー」のスキルがある。これを使って援護できないか?
「フェン、考えがある。俺は下がってるが、弱点を見抜いたら指示するからよろしく頼む」
「うーむ。いや信じるのじゃ!」
「しばらくの間、敵の攻撃を避け続けてくれ! 頼むぞ!!」
「もちろんじゃ!!」
「フォッフォッフォ。いいコンビですな」
俺はフェンが駆け出し、剣の攻撃をかわしながら魔法を打つのを、安全な場所で眺める。そして「鑑定」スキルを使った。だが時折、頭から打たれる風の弾に邪魔されて有効打を与えられていない。
―
ストームバレーの隠しダンジョンの守護者
o 力: 120
o 敏捷: 20
o 体力: 1000
o 知力: 25
• スキル 魔法防御:魔法に耐性を持ち、伝説級以上の魔法しか効かない。
弱点:足、胴、頭の順番で物理的な攻撃もしくは上級以上の魔法で攻撃を加えると目に弱点が現れる。
「フェン、こいつは伝説級以上の魔法しか効かないぞ!! 物理で足、胴、頭の順番で攻撃しろ!!」
「わかったのじゃ!!」
俺の声を受け、フェンは鋭い爪を剣のように振り下ろした。その一撃が守護者の足元に食い込み、わずかながらも石が崩れた。
「効いておる! この調子じゃ!」
フェンは嬉しそうに叫びながらさらに攻撃を続ける。
だが守護者も黙ってはいない。重々しい剣を振り回しながら、フェンを狙い始める。巨大な刃が風を切り裂き、フェンに迫る。
「危ない!!」
俺は思わず叫ぶが、フェンは冷静だった。素早い動きで守護者の攻撃をかわし、足への攻撃を続ける。
俺はコインを取り出し、守護者の次の動きを読むことに集中する。
「表なら右、裏なら左だ……!」
はたから見ると運任せの指示で危ないように思えるが、俺はギャンブラーのコインに鑑定した力以上の特別な力があるように思えてならないんだ。
だからこいつの出目に賭けることにした。
コインを投げると、表が出た。俺はすぐにフェンに叫ぶ。
「フェン、右だ! 次の攻撃は右に来る!」
フェンは俺の指示に従い、左へと跳び退く。次の瞬間、守護者の剣が左側の床を粉砕した。俺たちの連携がうまくいき始めている。
ついに守護者の足が崩れ、膝をついた。フェンは間髪を入れずに胴体への攻撃を開始する。爪と風魔法を組み合わせた猛攻が、守護者の体をひび割れさせる。
「よし、頭だ! 最後の攻撃を決めろ!」
俺の声にフェンが頷き、全力で跳躍する。そして白い輝きを纏いながら、守護者の頭に向かって突進した。
「神速――終撃!!!」
フェンの一撃が守護者の頭を粉砕し、石の破片が広場中に散らばる。その瞬間、守護者の目に隠されていた弱点が露わになった。
「今だ!」
俺は声を張り上げ、フェンが躊躇なく目に向けて攻撃を叩き込む。すると、守護者は深い唸り声を上げながら崩れ落ち、動きを止めた。
広場には再び静寂が戻った。フェンは荒い息をつきながら俺のもとに戻る。
「主人、勝利じゃ!」
「お疲れ、フェン。すごいコンビネーションだったな。」
「全く戦闘中もコインで指示を出すとは。賭ケグルイじゃのう」
「俺はギャンブラーだからな。それにこのコインは特別なんだ」
「まあそうじゃのう」
ハルが満足そうに笑いながら近づいてきた。
「お見事ですぞ。風の古龍様も、きっとあなた方の力を認められることでしょう。」
石像の崩れた跡に、新たな道が現れる。その先には、古龍の眠る部屋が待っているのだろう。俺たちは互いに頷き合い、新たな試練へと足を踏み出した。
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