第2話

会話の途中で、彼女がある金融機関の前で立ち止まり、ここが勤務先の支店の一つだと言った。

実際の勤務先は隣町で、仕事帰りに飲みに来たと…。


警戒心が少しでも有れば、普通ならそんな事は喋らない。


イケメンな後輩に比べれば、見劣りする私には警戒心が無いのかもしれない。

但し、私の仕事は、会社ならば何処でも行く新規開拓営業。得意先になっていないこの金融機関へ、後で驚かせに行くことにした。



二軒目のバーに入り、先に着いていた後輩たちは、4人掛けのボックス席で既に盛り上がっている。


仕方なく、少し離れたカウンターで彼女と飲み始めた。


(最初は、女子と会話が出来れば良かっただけだった。

自分のタイプでは無かったし、彼女を口説き落とすつもりはなかった。)



彼女には姉がいて、結婚したばかりで少し焦り始めたと言う。内心出会いを求めていたらしい。

職場では年の離れたおじさんしか居ないし、来店する人も年輩者が殆どで、同年代の男性と話をする機会が無いから楽しいと言った。


カウンターで飲み始めた矢先に、一歩間違えば結構ヘビーな話。


彼女は失恋したばかりなのか、イキナリ泣き始めそうで、ヒヤヒヤしながら慰め役、なだめ役となって、大した恋愛経験も無いのに恋愛アドバイザー役となって彼女の相手をする。

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