生き返った陰陽師新たなる君の元へ(短編)

熊暁 翔帥

一つの終わりと始まり

第1話 天乱の干ばつ 前編

1004年に7月頃に起きた飢饉によって、都は疲弊仕切っていた

一条天皇が起こしたともいえる皇統を軽んじる姿勢が、存在そのものが八百万の神々と人を繋げる要であり神職とも言える天皇の床が汚された怒りとも取れるごとく内裏の中で起きた乱れが、定子妃が死去したことで吹き出したとも見える有り様だった。

しかし公卿達は思っていてもそれをいうことはなく、対策を考えることだけに集中していた、

蔵人頭「左大臣様、もう限界でございます水が水が足りません」

道長「陰陽寮や比叡山は何をやっている!、祈祷をさせているのであろう?」

「はい、夜を徹して行なっております」と蔵人頭が頭を下げるが

道長は、苦悶の表情でこの飢饉を対策をどうするか考えていると、

道長の前に、元凶とも言える人が姿を現した、一条帝である。


「左大臣、朕自ら雨乞いの儀式をする故準備をさせよ」と一条帝はいう、(古来から天皇は国家元首という側面もありますが祭祀王という側面の方が強いので、儀式等精通した神職でもあります。)

そして、7月の吉日御所にて、天皇を筆頭とする京都の神職達によって、雨乞いの祭祀が行われたが、半日ほど行ったが

結果は、天皇だから少なくともあったと言えるレベルで

涼風が吹き、温度が少しさがるという結果となったが

根本的な問題は解決はしなかった。


一条帝は、祭祀の結果に淡々とした表情で内裏に戻ったが心中は、

(朕が祈祷したにも関わらず、雨が降らないのはなぜか?左大臣の忠告も聞かずに、定子を呼び戻したりした報いなのか?)と穏やかではなかったのであるがそれはまたべつの話


祭祀王たる、天皇の祈祷もうまくいかず振り出しに戻った干ばつ対策に道長は、苦悶の表情を浮かべていた。

「一条帝自ら行った雨乞いで暑さは和らぎ涼しくはなったが、水が足らぬ状況は変わらぬどうすればいい?」と等式部が宣孝と一緒に歩いている時の笑顔を見た時に扇を折った時以来また扇を折った。

その音を聞いた、1人の公卿が何くわぬ顔をして入ってきた、

権大納言に昇任した藤原実資である。

「左大臣様、何やら音がしたので気になって参りましたがいかがされました?」

道長「実資殿、いや一条帝自ら行われた雨乞いの祭祀によって風が吹き涼しくなって過ごしやすくはなったが水不足は根本的に解決していないのでどうしたものかと思っていると無意識のうちに扇を折ってしまったのよ」


「それはそれは、お怪我はございませんでしたか?しかし左大臣様の真剣に向き合うその姿勢は敬服するばかりです、三人よれば文殊の知恵というとは言いますが、2人でも年長者くらいの知恵は出せましょう私もお手伝いいたします」と実直な男藤原実資は、道長の側に座る。


「すまぬな実資殿」と言い言葉を続けようとした瞬間実資の年長者の知恵という言葉に引っ掛かり、ある男の顔を思い出した。

年齢不詳、いつ見ても不敵な笑顔を浮かべているある男の顔が浮かんだ、


道長が閲覧する政務記録や過去の歴史を見ても歴代最高の陰陽師である、

意識を物質化することが術の最高峰だといい、道長にかけられた呪詛すらも平然と返し、亡き皇太后である姉や円融帝も助け、一条帝の命も救ったことのある超人であり変人である、自身も一度死に蘇ったことがあり生と死すらもごまかすほどであるが、昨今は引退し屋敷に引き籠っているのである。


道長は、思わず立ち上がり実資に近寄り手を握って「実資殿!!さすがですな、おかげで一つ思いつきましたぞ!」とぶんぶんと握手するように振った後道長は、「車を用意せよ」といい御所の執務室から出た。

そして取り残された実資は「何を思い付かれたのだ?」とポケッとした表情で取り残された。


道長は、車に乗ると従者に「安倍晴明の屋敷に迎え」と言うと、車がゆらゆらと動き出した。

暫くのち一条戻橋周辺に来ると道長は車を停めさせて籠から少し出て、「晴明話がある故床から出て参れ」と戻橋に向けて言い、「出せ」と再び言い車を動かさせた。


晴明の屋敷に着くと、

道長は車から降り従者達に「陽が暮れても出てこなければ一度帰り翌朝迎えに参れ」と言うと、「奥方様達にもそうお伝えしてよろしいのですか?」

従者は道長にお伺いを立てると

「それでかまわぬ」と言い、晴明邸の門に立つと

ぬるっと門が1人でに開く

道長は、いつ来ても慣れはしないのかビクッとなってから屋敷内に入って行った。


屋敷の奥に来ると、暫く見ないうちに年齢不詳の男は

引退したものらしい年相応の姿になっていた。

道長は驚きつつも座に座ると、

おもむろに安倍晴明は、会釈してから

「左大臣様お待ちしておりました、この度はどういった御用で参られたのですかな?」と道長に尋ねる。

「わかっておるのにあえて尋ねるのだな」と道長は返すと。

「願いは言葉にしてこそ意味があるのです、術の根源は言霊それは昔から変わりませんぬ」

「干ばつを鎮めるべく、雨乞いの儀式を行って欲しい」

というと間髪入れずに晴明は、

「いやでございます、体も持ちませぬし霊力も持ちませぬ」

「頼む、お主しか頼れるものはいないのだ一条帝の祈祷も意味をほとんどなさなかったのだ」

「一条帝の祈祷が不十分だったのは、龍を管轄する神が祭祀王であり八百万の神々と日の本の民を結びつける帝の乱心を戒めておいでだからです。」

「そうなのか?ならばどうすれば良い?」

「入内なさった彰子様を中宮になさいませ、成人なさっていないことを理由に二皇后と言いつつもそのままでございましょう?」

「そうではあるが意味があるのか?」

「少なくとも一条帝の御世である限りは、必要な措置でありますな」

「そして、それだけでは足りませぬ貴方様のお心にある方に会いに行かれませ」

「心にある方」という言葉を心のうちで反芻した道長は、ある女性の姿が思い浮かぶ、幼馴染とも言える存在でもあり結婚したと聞いた時は出家したくもなったり、(結婚報告にきた際は「等式部が結婚しました」「その夫は私です」と言って煽ってきたことを根に持っている)晴明に夫を呪わせて殺して慰める程で後釜に座りたいともまで考えた最愛の女性の姿を。



後書き

皆様おはこんばんにちは、熊暁です

既存の描いてる最中の小説をほっぽり出して、短編を描き始めました、

頭がそれに支配されていて、中華や現代陰陽師や異世界系に世界観向かないので苦笑


題材は、大河でも出てくる藤原道長と頼通の摂関家が基軸で

主人公は道長の御用陰陽師とも言える晴明の後釜に座ったとも言えるそれを支えた陰陽師となります。

本編を制作するかは、描いてみた感覚で決める予定ですが、

政策する場合は

最終的には、藤原摂関家の栄華が道長頼通で終わりではなく

存在しない3代目で終わるように整える予定です。

多少転生要素、現代的な知識、ご都合主義や出来事を時期をずらしたりして微調整も入ります。

とりあえず、短編として来年の大河が始まる前日までに描き終える予定です。



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