Aランク配信部を追放されたVオタの僕、配信の神と出会いS級タレントとともに最強のVTuberグループを作る~みんな僕のこと好きすぎまである~
9話 見てもいいタイプの下着なんだろうけど、堂々としないでよ!
9話 見てもいいタイプの下着なんだろうけど、堂々としないでよ!
「ユウ、助けて! なんか半裸の女の人が襲ってきた! 他プレイヤー?! この世界にいるのは僕だけじゃないの?! 倒されたらどうなるの?!」
メッセージの送り方が分からないから、僕は声で助けを求めるしかない。
ユウ:メッセージを送っておるのも、セーイチローの背後にいるのも、ワシなのじゃ!
「え?」
「うっかり! この距離なら声が届くからメッセージを送らなくても良かったのじゃ~!」
うっかり! 僕は立ち止まり、上半身だけとはいえ振り返ってしまった。
「やっぱり下着だ! うちの妹が体育の日に着けていくようなヤツ。あ。やべ。リア
僕は慌てて姿勢を直して、半裸女に背を向ける。
さっきより近づいていたから分かったけど、大人の外国人だ。外国人が大人びて見えることを差し引くと、同年代かもしれない。
髪が銀色で肌が透きとおったように薄いし、日本人じゃない。
胸が洋ゲーって感じのサイズなんだけど、和ゲー(ビーチバレーとか格ゲーとか)って感じに激しく揺れていた。
あ、いや、じっくり見ていないから全部気のせいかもしれないけど。
「なんで背中向けてるのーじゃっ?」
声が接近してくる。どうしよう。
視聴者はゼロだ。しかし、いつか誰かがアーカイブを見るかもしれないし、切り抜き動画が作られるかもしれない。
だったら、ここは、面白いリアクションをするしかない!
僕は振り返り叫ぶ。
「おっぱいデッカッ! スライムが襲ってきたかと思った!」
くーっ。恥ずかしい。
しかし、これで僕は、初対面の女性の胸のサイズに言及するエロ野郎というキャラが立ったはず。ユウが恥ずかしがっても怒っても、動画は面白くなる……はず。
さあ、どういう感情をノせてもいいから、突っこんでくれ!
「え~? えへへ? 触る?」
「やめて、怖い。嬉しそうにしないで。やめて! 恥じらって!」
「改めて、よろしくなのじゃ! わしがユウなのじゃ」
「あ。どうも。僕はセイ――」
「ピー!」
「――です。なんで人の名前にピー音いれるの?! 放送禁止?! あ。プライバシーの配慮?!」
「まったく、カミヤマ、セーイチロウは粗忽者なのじゃ」
「フルネーム! そこにピー音、入れて! なんでセーイチロウって呼ぶの?! オンゲーで使ってるセイウチって名前あるから、そっち使ってよ!」
「覚えたぞ! お前の名前、一生、忘れないからな!」
「バトル漫画のやられ役の台詞ぅ!」
やばい。
こいつ、破壊力の高いボケタイプだ。
艦長のコメント欄で鍛えられた即レス力のおかげで、なんとか対応できたが、少しでも油断したら持っていかれる……!
それにしてもユウはなんか独特な喋り方をするし、テンションが高い人だな。
いや、配信神とか言ってたし、人じゃないのかな。
あっ。だからか。
人じゃないから、異性なのに会話しやすいんだ。
それはそうと……。再生数ゼロでも、僕は視聴者の疑問を代弁するぞ!
「なんで僕達は下着姿なの?」
「無課金の初期状態だからなのじゃ」
「そういうことかー。めちゃくちゃ納得できる理由だったー」
僕は視線を高くし、ユウの首から上だけが視界に入るようにする。
一瞬見たユウはグレーの地味パンツを穿いていて、胸に同色の布が巻きつけられていた。
いかにもキャラクリエイトの初期キャラが装備していそうな、地味な下着だった。
多分、見ても大丈夫なやつだ。全年齢対応のはずだ。センシティブではない。
これにエロさを感じていたら逆に妹から「うわっ。キショッ。これ、そういうのじゃないでしょ」と言われるやつだ。これは普通に見てもいい下着のはず。
ただし、ゲームに限る。
リアルで見るのはあかんやろ……。
ユウの体の起伏が大きいせいで、センシティブに見えてしまう……。
視線を上げすぎれば、初対面の人と一緒にいるのに、何もない虚空を見つめることになって失礼だから、無理。
少し視線を下げたら結果的に相手の目を見ることになり、これはこれで緊張する。
ユウの瞳は自ら発光しているかのように、キラキラ煌めいている。
「ユウは配信神なんだよね?」
「そうなのじゃ。配信神は『はい、ち*ち*』と同じ発音なのじゃ」
「そんな、この例で分かるでしょみたいなノリで言わんで。具体的に何をする神様なの? 火の神なら手から火を出しそうだし、雷の神なら指先から雷を出しそう。けど、配信神ってどこから何を出すの? 目からギガでも出すの? 鼻からコメント?」
「えっち……。女の子だもん。あそこから、あれが出るよ……」
「いらっときたぁ……。同じこと聞くけど、どこから何が出るの?」
もし『面白い配信をできるようになる加護』みたいなものがあるなら、上手いこと妹のために活用できないかな?
「どこかから何かが出ること前提の質問やめて! 配信神は配信を、つどかさる、つどか? つかどさる……? 司る神なのじゃ!」
ユウはバーンとのけぞり、自慢げに胸を張った。
気にするな、視界の下の方で揺れたのは無課金デフォルトおっぱい、無課金おっぱい。無っぱい。気にするな。
「縄文土器、弥生土器、
「僕のドキドキにあわせて、早口で色んな土器の名前言うのやめて。というか後半の二つ知らない。待って、なんで僕がドキドキしてるの知ってるの。心、読んでない?」
「わしがこのゲーム世界のゲームマスターだから過去ログ参照できるよ」
過去ログって僕の心の中も見えるの?
ユウの下着姿を見て、うっかりドキドキしちゃったことがバレているってこと?
「バレてるよ!」
「そこは明言しないで!」
動揺顔を見せたくないから、僕は歩みを再開し、東の森を目指す。
というか、森、けっこう遠いな。
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