こころの熱量<詩集>
ありもと優
第1話 情愛
私はシンプルに言う
あなたを好きだった
あなたは難しく捉える
もう忘れていくのか、と
愛し合った日が眩しいのは
過去だからじゃない
まっすぐな矢を撃ち合うこと
本気の気持ちだった
ひとりでに動きだす心も
ふたり絡まった身体の端も
熱い視線を交わしたことも
最後は 小さな塊を残して
記憶から除けられる
それは
必ずしも
辛い出来事ではない
時の吹雪に奪われていった
激情の愛
その肩は
いつも私のためにあった
私の背中を覆う
あなたの胸元は
熱い体温を教えた
ベッドは静謐になり
部屋は明るさを失くした
キッチンから湯気は見えない
ベランダの向こうには
佇む曇り空が霞む
あなたに
焦がれた恋
何処へ行ってしまったのか
あなたの
私への考えは
もう範疇にはない
進展を望み
段階を超えて
辿り着く行き先
成功法則は
多分
一定の距離感
それだけが
ゆるく永く続くような気さえする
だけど
情愛に
規律なんて当てはまらない
言い回しは当てはまらないけれど
冷たい熱情だってあるんだ
こころで
反芻すれば
誰にだって覚えがある
氷は冷えすぎて触ると痛いとき
熱さと勘違いしてしまいそうになるから
忘れないように
消えないように
大事にこころの片隅に蓋をする
だけれど
私は時々
扉を開けるだろう
そして
ひとり 眺める
あなたの
その愛の狭間の記憶を
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