彼女を同僚にNTRられてヤケクソになったモブが、10年振りに高校の同窓会に参加したら何故か美少女四傑に迫られた
田中又雄
第1話 NTR
くだらない話だが聞いて欲しい。
あるところに住む平凡な28歳には彼女がいた。
優しくて、笑顔が可愛くて、少し天然で、結構不器用な女の子。
彼女は24歳の時、友達の紹介で出会った。
趣味も合わなければ、話も噛み合わない、見た目もすごくタイプだったわけでもなかったから、何となく友達のような関係が2年ほど続いた。
俺はこのまま、友達の関係でもいいかなと思っていた、12月25日のことだった。
夜ご飯を食べて、なんとなく駅前のイルミネーション前を2人で見ながら歩いている時だった。
「カップルだらけだな〜」
「...あのさ...」
「ん?」
「私たち...付き合わない?」
そんな言葉に一瞬、時が止まったように感じた。
嬉しかった。
多分、俺も好きだったんだ。
けど、今のこの心地よい関係が壊れるのが怖くて、今のままでいいと言い聞かせていただけだった。
多分それは彼女も同じで、でも彼女はそれを打ち破って告白してきた。
少しだけ、微笑みながら言った。
「うん、いいよ。付き合おう。俺も好きだから」
人生で初めての彼女だった。
それからは2人でいろんなことをした。
キャンプをしたり、図書館巡りをしたり、ゲーム大会をやったり、動物園に行ったり、遊園地に行ったり...それからそれから...。
それから2年たったある日のこと。
俺と彼女は同棲をするようになっていた。
その間に大人に関係も次第に頻度が少なくなり、というより彼女にやんわり断られることが多くなり、へこんでいたある日のこと。
午前中の仕事している最中に発熱し、結構高熱が出ていたため、そのまま早退。
病院に直行し、薬をもらっていつもより早く家に帰宅した。
玄関の鍵を開けようと、少しうつろうつろした意識の中、鍵を探していると、中から声が聞こえてきた。
それは俺が今まで聞いたことのない彼女から聞いたことのない、卑猥な声だった。
幻聴だと信じたかった。
震える手でドアノブに手をかけると、鍵はかかっていなかった。
中に入るとその声はより大きくなった。
生々しく、甲高く、俺の男性を刺激する声。
そのままヨタヨタと歩きながら、寝室の扉を開く。
そこにはうっとりとした表情で男を見つめる彼女。
そして、その男は俺の同僚の男だった。
それもかなり仲のいい同僚だった。
お互い夢中になりすぎて、俺の存在に気づいていない。
そのまま、手から落ちた薬が床に落ちて、ようやく2人は振り向いた。
次の瞬間、2人揃って何やら言い訳を始める。
これは違うんだ。本当に気の迷いで、今回が初めてなんだ。許してほしい。
多分、そんな言葉だった。
熱が出ているから悪い夢を見たんだ。
そう信じたかった。
そのまま俺は倒れた。
次に目を覚ますと、病院だった。
数日間の入院の後、家に帰ると彼女のものは何もなくなっていた。
同僚は会社を辞めていた。
全てを失った。たった1日で。
俺は一体何をしていたんだろう。
実は全ては妄想で初めから彼女なんかいなくて、仲のいい同僚なんていなくて...そう思いたかったのに、思い出の写真がその逃げ道を塞ぐ。
あぁ、もうどうでもいいや。
何も考えず、何も感じず、何もない日常を、まるゲームでただログインボーナスをもらうためにログインするような、そんな日々を送っていた。
あれなら数ヶ月後経った。
そんなタイミングで母さんから連絡が来た。
『なんか高校の同窓会の手紙届いたけど。どうする?』
高校の同窓会...。
別に仲のいい友達がいたわけでもないし、会いたい人がいるわけでもない。
けど、もう何もかもどうでも良くなっていたので、何となく、気まぐれで参加してみることにした。
『行く』
ここまでがどこにでもいる哀れなモブの話である。
ごめんね、つまらない話を聞かせてしまって。けど、ありがとう。
◇
ここ...か。
結構いいホテルが会場になっていた。
今更ながら来てしまったことに後悔していた。
ちなみに今回の同窓会はクラス単位ではなく、学年単位のため、広い会場が取られているようだ。
今からでも引き返すか?
まぁ、少し顔を出したら帰ろう。
受付を済ませて中に入ると、既に数十名の同級生が楽しそうに会話していた。
意外と集まるもんだな。
俺のことを覚えているやっぱいるのだろうか。
そうして、折角なので用意されたビュッフェを少しつまみながら周りを見渡す。
あー、多分あいつ、1年の時同じクラスだった...堺?だっけ。変わってねーなー。
あいつは小椋か?めちゃくちゃ太ったなー。よくわかったな、俺。
学年1のイケメンの美作。相変わらずかっこいいなー。
そうして、キョロキョロとしていると、ある女の子が目に入る。
あれは...
我が校で美少女四傑と呼ばれていた中の1人だ。
社交的で明るく、誰からも愛されていて、よく勘違いしちゃった男子が告白しては全滅していたっけな。
そういえば、結局、誰かと付き合ったという話を聞いたことがなかったな。
あのレベルになれば学校内で収まることもないのか。
ちゃんと大人になっているというか、あのまま綺麗になったって感じだな。
さぞかしモテるんだろうな。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089234102831
次に目に入ってきたのは、
無口で無表情な美少女。
そんなアニメにいそうなキャラがしっかりした彼女も、男子から絶大な人気を誇っていた。
昔はメガネをかけていて、割とおとなしめな印象だったが、今は少なくても派手な見た目から、大人しさは感じない。
でも、大人っぽくはある。
図書室で何度か話をしたことがあるが、きっと彼女の方は覚えていないだろうな。
男を知ったということなのだろうか。
1人で飲む様もかなり似合っていた。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089234175646
その横に見た目のインパクトで言えば一番な人がいた。
なぜか白髪になっているが、おっとりとした雰囲気と、あの超大きい胸は見間違えようがない。
高校時代よりさらに大きくなったと見受けられる。子供でもいるのだろうか?
女子友達と楽しく談笑していると、こちらの視線に気づいたのか目が合いそうになってすぐに逸らした。
多分、いや絶対俺のことなんて覚えていないだろうし、そんなことを言われたら傷つく。
今俺はすごく傷つきやすいのだ。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089234208216
そして、最後が
見た目はあまり変わっていない。
相変わらずの金髪だった。
確かフランスとのハーフだったか?
女子のカースト1位であり、いろいろやんちゃなことをしていた彼女だったが、なぜかその周りには人がいなかった。
その表情もどこか寂しげで、怒っているようで、悲しそうだった。
きっと、俺も同じような顔をしていると思う。
【挿絵】
https://kakuyomu.jp/users/tanakamatao01/news/16818093089234243247
結局、あまり来た意味はなかったな。
誰かと話すわけでもなければ、何か出会いがあったわけでもない。
そもそもこういうのに1人で参加する方が珍しいのだから。
あーあ。やっぱ来なきゃよかった。
グラスをテーブルに置いて、帰ろうとした時のことだった。
「...
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。