「続きまして、次の種目は先生vs生徒リレーです。毎年ハッスルする先生の転倒が名物になりつつありますが、今年は一体どの先生が見せてくれるのでしょうか?!」


 実行委員長の川名のアナウンスで一気にどっと盛り上がる。

 種目別で選手案内係を任せられているまどかは、本部席で出場選手の名前を読み上げる。


「――……2年2組、上條 廉君、2年3組、瀬沼せぬま 光輝こうき君――」


 上條くんの名前をアナウンスしただけで、キャーキャーと女子の歓声が沸き起こる。

 無意識に彼の姿を探していた、その時。

 かなり離れているのに、上條くんと視線がバチっと合った。


「小森に手を振ってるぞ?」


 手元の出場者名簿を読み上げながら、隣りに座る実行委員長の川名にギロっと睨みを利かす。

 マイクで音声拾ったら困るじゃないっ!!


 200mのトラックを1人1周ずつ走り、バトンを渡すリレー競技。

 各学年ごとに対決する形で、上條くんはアンカーのようだ。

 列の1番後ろに並び、腰を下ろしている。


「位置に着いて、よーい……パンッ!」


 スターターのピストル音が甲高く空に響く。

 2年の第1走者は3組の瀬沼くん。

 サッカー部ということもあり、足が速い。

 野球部監督の小池先生との差がどんどん開いてゆく。


 第2走者は4組の岡田おかだくん。

 半袖の袖をタンクトップみたいに捲り上げていて、自慢の筋肉ボティを見せつけている。

 柔道部主将というのもあって、発狂に似た部員の声援が熱い。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る