とある日の放課後、正門前。

 和香と一緒に下校するまどかは、和香の推し活の話を聞きながら歩いていると、前方に見覚えのある人を発見。


「あれ、上條くんと藤宮くんだよね」

「……そうみたいだね」

「うわぁ、あれって、上條くんに告ってんじゃない?」


 正門前で、他校の制服を着た女の子2人組。

 どちらもバッチリメイクで女子力高め。和香が言うように、告白してるっぽい。


 1人は俯き加減で頬を赤らめ、必死に思いを伝えようとしている女の子。

 その子の隣りで応援するかのように手をぎゅっと握り、見守っているもう1人の女の子。

 ダボっとしたセーターにかなり短めなタータンチェック柄のスカート。ブラウスのボタンが2つくらい外されていて、男子ウケ良さそうな戦闘能力高めな女子だ。

 彼らの横を通り過ぎようとした、その時。


「悪い」

「友達からでもダメですか?」

「無理。行くぞ、朝陽」

「ごめんねぇ~、廉、恋愛に興味ないから」


 フォローする藤宮くんをよそに、駅方面へと歩き出す上條くん。

 涙目になる女子を気にも留めずに、長い脚でスタスタと歩いて行ってしまった。


 あんな冷たい男の何がいいのだろう?

 顔だけのような気がするけど。


「まどか、ごめんっ!急にオフ会入ったっ!」

「え?」

「ホント、ごめんっ!また後で連絡するっ」


 受信したメールを見せ、拝むように両手をあわせる和香。

 推し活仲間のオフ会に呼ばれたらしい。

 最新情報を得るためにフットワークが軽いのが和香の凄いところ。


「いいよ、行っておいで」

「ありがと~っ、まどかLOVE~♪」

「ハイハイ」


 投げキッスをして、バス停へと駆け出す和香に手を振って送り出し、私は駅へと歩き出した。

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