<詩歌>ハナムケの雪結晶

ありもと優

第1話






 ずっと遠くに行ってほしかった

 ずっと近づかないでほしかった

 逃げこんでくる灰色の雪が

 カタコトと音をたてる

 ずっと遠く見えぬ場所へと

 降り積もり

 太陽の温度に

 消えてゆくならそれがいい



 自分の限りを知らないのなら

 むさぼる言葉は永遠になるだろう

 だから みな

 距離を置く

 境界線を作る

 そうなることに覚えがない

 なんて

 嘘でしょ



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 珍しい話

 流行りの文言

 いくら重ねてもタダなら

 それだけの価値

 それ以上をみるなら

 身を削らないといけないね

 そうやって生きている人もいる

 誰も気づかないところ



 置いていくものはないけど

 いつか全部なくなっても

 安らぎ眠り希望の朝日があったこと

 その時間が求めた深い海辺を

 懐かしく思うんだろう



 表層面の炎だけじゃ分からない

 深部に宿るひかりは

 自分自身を必ず追い越してゆく

 それが

 まだあるなら見たいだなんて

少し傲慢だなと思う

 もう そこにあるのに

 その胸の内側に

存在しているというのに

 微細に組み込まれた

 成り立ちを見逃している



 煌びやかさは美化された一部

 自分の感性を動かすアクションに

 本物に もしも出会ったのなら

 とりこぼさないことが鉄則

 奇跡は常に密やかに身近にある

 だから花はうつくしく咲く

 散りゆく時も 綺麗だ

 そして

 人間は甘やかな夢をみる

 


 全世界が抱える涙は

 ひとりの人間のかなしみ

 痛みに値するなら

 それも

 優しい

 ひかり



 すべてのこと 

 忘れた記憶も

 根付く想いも



 いつか

静かに結晶となる

 そして

 ゆっくり

 ゆらゆらと

 薄らいでゆくから




 願いの前方は

 きっと大丈夫だよ






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