第21話:仏像仮面ブッダーの活躍と雪白の情報。

芸能事務所の件は一応、仏像仮面ブッダーにも相談した。


「そうでござったか・・・」

「まあ、言わずもがな、でござるな」

「あまりしつこいようでござったら、全員まとめて記憶を抹消するでござるよ」


「え?まじでそんなことできるのか?」


「そんな簡単なことは屁でもないことでござる」


そんなわけで、芸能事務所の人が訪ねて来るたびに仏像仮面は姫のことを、

記憶から消していった。

なにか装置でも使うのかと思っていたら仏像仮面が、そいつらに向かって

念仏を唱えると、みんな姫のことを忘れて何ごともなかったように帰って行った。


「これで大丈夫でござる・・・もう訪ねてくることもないでござろう」


「頼むから俺の記憶は消さないでくれよ・・・」


「なんなら試してみるでござるか?」


「やめろ〜、それだけはやめろ!!」

「そんなことしたら姫が悲しむぞ」


最初はネットでも騒がれたが日が経つごとに姫のことも自然に収拾がつき始めた。

コスプレイベントの飛び入りが、こんなことになるなんて思ってもみなかった。


今回ばかりは仏像仮面ブッダーがいてくれてよかったと心から思った。

俺ひとりじゃきっと対応しきれたなかっただろうからな。

とりあえずよかったんじゃないだろうかと胸をなでおろした。


その件はそれで終わった。


ある日のこと・・・昼休み、大学の食堂で俺が寝てるとヨコチがやってきた。


「ツッキー・・・」


「なんだよ・・・ヨコチか・・・」

「だから、ツッキーと呼んでいいのは姫だけだって言っただろう?」


「いいじゃないかよ、俺たちもう充分友達だろ?」

「コスプレフレンド・・・コスフレ・・・・」


「そう言ういい方したらエロい関係みたいだろ〜が」


「あのさ・・・おまえがご執心だった白雪のことだけど・・・」


「それなら、もういいわ・・・彼女からもう興味が失せた」


「そうか・・・ならいいんだけど」

「まだ白雪を狙ってるのかと思ってたからさ・・・」


「彼女とは二言三言話はしたけど、それだけで白雪の性根が見えたからな」


「そうなんだ・・・」

「俺も白雪はやめておいたほうがいいぞって言いたかったんだけど・・・」

「それならいいかな・・・」


「いいから・・・話せよ」


「実はな、白雪の家は、栄生美幸と姻戚関係にあるらしい」

「だから、ちょうセレブってわけだ・・・」


「あ〜それ聞いただけで最悪だな」


「向こうは頂上にいる人たち、俺たち庶民とは格が違うんだよ」


「だからいくら白雪を好きになっても、高嶺の花ってわけだ」

「逆玉って方法もあるけど、きっと苦労するのは目に見えてる」

「よっぽど割り切るか神経が図太いやつじゃないと白雪と付き合うのは

無理だろうな・・・」


「それに白雪って女子の間じゃ、あまり評判よくないみたいだし・・・」

「コスプレ会じゃ人気を博してるけどかなり自己中らしい」


「ふ〜ん、まあ、たぶんそんなことだろうって想像つくけどな」


「ってことで、これからは姫ちゃんだよ」

「ネットですごいことになってただろ?」


「ああ、そのことで一悶着あったよ」


俺は芸能事務所のことをヨコチに話してやった。


「だろうな・・・姫ちゃんみたいなイケてる子、芸能事務所がほうって

おくはずないもんな」


「でも、もったいないな・・・姫ちゃんがタレントになるのが嫌だって

言うんなら、しょうがないっちゃ、しょうがないけど・・・」


「おまえ、まだ懲りずに姫にちょっかい出そうって魂胆か?」


「いやいや、いくら俺でもそう何度も病院送りは嫌だからな」


「姫ちゃんのアナ・デ・トライザクトのいちファンとして応援していくよ」


ヨコチの瞳は乙女みたいにキラキラ輝いていた。


ヨコチは知らないから、そんな夢みたいなこと言ってられるんだ。

姫は満月の夜、超エロくなるんだぞ・・・。


つづく。

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