第4話:私の彼氏になって。
「あのさ・・・ツッキー私、ツッキーに話があるんだけど・・・」
「なに?どんな話だよ?」
「男と女の話・・・」
「はあ?・・・そんなの、わざわざ学校でしなくても家でも話せるだろ」
「私と付き合って・・・」
「・・・・」
「お〜っと、あはは、なに?・・・なんて言った?」
「だから、私の彼氏になって、って言ってるの・・・」
「俺と暮らしてもう2ヶ月以上立ってるぞ・・・なのに今更かよ・・・」
「つうかさ、俺たち兄妹ってことになってるんだぞ?」
「兄妹で付き合うって・・・世間的におかしいだろ、それ」
「兄妹って建前だけで、他人でしょ?」
「そうだけどな・・・・」
「ダチもみんなも俺たちが兄妹だと思ってるのに学内でラブラブしてたら
変態兄妹って思われるだろ?」
「つうかさ・・・そんな話、こんなところでしなくていいだろ」
「こういう話は学校でよくあるシュチュエーションだと思って・・・」
見ると食堂に来てる生徒全員の目が俺たちに注がれていた。
「ちょっと来い・・・校舎の裏へ行こう」
そう言って俺は姫の腕をつかんで教室から出た。
校舎の裏に着くと俺は俺の手がかるくなったことに気づいた。
「またかよ」
左腕がはずれた姫がニタニタ笑いながら俺の後ろから付いてきていた。
「あ〜不気味だ・・・ホラーだ・・・」
「ほら、ちゃんとつけとけよ、そんなのクラスの誰かに見られたら大変だぞ」
「で?さっきの話だけどさ・・・俺に彼氏になってくれって?」
「なんでまた?」
「他に彼氏になってくれる奴がいないから俺でもいいやって思ったか?」
「あのね、私のお友達の美幸ちゃんがね、お友達でもないけど・・・
んで、その美幸が男子五人から同時に告られたって自慢するのよ、みんなの
前で・・・悔しいでしょ」
「私に告ってきたのはヘタレのヨコチ先輩だけよ」
「そんなの私のプライドが許さない」
「なんで、誰も私に告って来ないのよ、バッカじゃないの?」
「他の男が、なんで姫に告らないか?・・・それは多分、姫が近寄りがたい
存在だからだよ」
「みんな、姫にはすでに彼氏がいるんだろうな、とか告っても断られるだろう
なって諦めてしまうんだと思うぜ」
「それにヘタレのヨコチの可哀想な姿見てるしな」
「ヨコチのにのまえはイヤだろ?」
「たとえばだぞ・・・」
「俺だって姫に付き合ってくれって言うのに、けっこう勇気がいるからな」
「ヨコチはプライドなんてないやつだからな・・・自分の欲望の方が勝ったん
だろうな」
「おまえに、ごめんなさいも言われずに、いきなり往復ビンタとパンチ食らって
アゴ砕けてるのに笑ってやがったからな、あいつ」
「そんなの私の責任じゃないし・・・」
「とにかく私がモテる女だって証明出ればそれでいいの」
「手始めにウソでもいいからツッキーから告られたって話をでっちあげたいわけ」
「なにも、本気で私の彼氏になってくれって言ってるんじゃないの」
「形だけでいいから、そういうことにしてほしいの・・・」
「あのな・・・俺はそんなくだらねえ女同士の見栄の張り合いに利用されよう
って訳か?」
「お願い・・・もう家で暴力ふるわないから・・・」
「え?まじで?」
姫が暴力振るわないってのは、話に乗って見る価値ありだな。
家にいるときは、よく背中叩かれたり爪でひっかかれたり足蹴りされたりする
からな。
俺でも本気出したら姫とやり合うことだってできなくないと思うけど
万が一にも女を殴ったりしたらDVだとかなんか言われて暴力最低男のレッテル
貼られるからな。
まあ、偽の彼氏になってやってもメリットはあってもデメリットがあるわけじゃ
なさそうだし・・・。
「暴力ふるわないな」
「ふるわない・・・」
「俺だけじゃなくてヨコチとか他にやつにも暴力はふるうなよ」
「分かった」
「よし・・・なら、彼氏になってやるよ・・・仮の、だけどな・・・」
「本当に?・・・でも、仮の彼氏でも私を裏切ったら殺すよ」
「浮気なんかしたら殺すからね」
「それも暴力じゃねえのかよ」
「それに、おまえな・・・仮とは言え彼氏を脅迫してどうすんだよ」
「殺さなくてもヨコチ先輩みたいに入院することになるよ」
「分かったよ、でも彼氏ったって話の上だけだろうが・・・」
「お互い好き同士でもなんでもないのに俺が他の女と仲良くしても、それは
おまえ、浮気になんかなんねえだろ?・・・」
「ツッキー・・・いっぺん、死んでみる?」
つづく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます