第3話 冒険者になりました
冒険者ギルド。
それは荒くれ共が集うお仕事斡旋所。暴れん坊だってお仕事しなきゃご飯が食べられないからね。
そんな場所に僕が来れば超絶浮いてしまうのは致し方ない事でしょう。例え服装が街人でも、高貴なゆるふわビジュアルまでは変えられないからさ。実に罪深いな………僕は。
「…………………………。」
「………………………………登録したいんですけど、手続きお願い出来ますか?」
可愛い受け付け嬢は、僕が来たから恥ずかしくて隠れてるみたいだ。ワクワクしていたのに残念だ……とても。
代わりに何人か人を殺していそうな顔面凶器がカウンターを陣取っている。これって、冒険者ギルドの営業に支障が出ないのかな?下手をすれば心の弱い人は恐怖のあまり、チビったり、気を失ってしまうかもしれないよ?
僕がそう思いながらも視線を外さずに顔面凶器を見つめていると、ヤツは僕の纏う雰囲気に飲まれたのか、フッと視線を外して1枚の紙を何も言わずに出して来た。よし!勝ったぞ!!
差し出された紙の内容を見ると、冒険者の登録用紙みたいだ。これに記入すれば良いのか?顔面凶器だったとしても、業務上必要な説明を怠るとは……。自分の仕事もちゃんと出来ないんじゃ、いくら年嵩の人物でも見習いからやり直しだ。今度、機会があったらギルドの上役にそう進言してみよう。
「………はい、記入しました」
「……………………………………待ってろ」
ふーん…喋れない訳でも無さそうだ。シャイオジ顔面凶器なんて需要無いと思うけど……僕の知らない世界が広がっていたり?まあ、愛想良くされても気持ち悪いから、せめて普通に喋れば良いのに。
んん??今度は何か水晶珠らしき物を持って来たけど………何をすればいいんだ?え??手で触れろって事か?だったらそう言えば良いでしょ?何故にゼスチャーなんだよ?!
もしやアレか?口が臭いのか?!もしそうなら、それは歯周病だ。歯を失いたくなければ、今すぐ治療院へGO!
口臭顔面凶器に習って、僕も水晶珠にそっと触れる。フワッと透明な光と共に僕の前にステータスが表示された。
名前 ルーディウス
年齢 12歳
性別 男
魔法 クリエイト
スキル 嗅覚上昇、味覚鋭敏、探索、初級剣術
ちょ、ちょっと!!いきなり衆人環視の中で個人情報の流出をギルドがしちゃ駄目でしょ!
え?水晶珠に触れた魔力に反応するから、その元である僕にしか見えて無いから平気だと?
……なんだ〜超焦ったじゃないか!僕の魔法はトップシークレットなんだからね!!知ってるのは、今は無き父様と母様だけなんだから!
だって
まさかと思うけど、決してドラッグストアじゃないからね!そこは間違えちゃ駄目だぞ!
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