ぼやっと四男の食いしん坊グルメ旅
いずいし
第1話 追い出されました
ぼやっとダラダラ生きていたら、12歳の時に住んでいた屋敷を追い出されてしまった。
せっかく貴族の家に生まれたんだからと、その喜びを思う存分享受していたら、まさに青天の
子供の頃から言いつけを守って勉強をしたし、家名を汚さない様にマナーも身に着けた。学校だってきちんと卒業したよ。成績は中位だったけどね。悪い遊びをした訳でもなければ、湯水の様に金を浪費もしていない。ただ、色々と面倒だったから言われた事しかしなかったけど。
だって『領民を導き、善政を成す』のは跡取りたる一番上の兄様の仕事だろ?『領主を支え、共に領地繁栄へと尽力する』のは2番目と3番目の兄様で事足りる。
僕、特にやる事無いんだよね。だから、可愛い末っ子マスコットキャラに徹していたのに、突然追い出すなんて酷いよ。
そりゃあ事あるごとに、何処かに働きに出ろとは言われていたけど、騎士団は汗臭くて厳しい訓練が多いから絶対に嫌だった。脳筋は脳筋どうしで仕事してた方が良いだろうしね。
魔導院は実験ばかりの引きこもり偏屈集団だ。繊細な僕がそんな変人達と馴染めるとはとても思えない。それに彼奴等が僕の魔法に気づいて、モルモットにでもされたら大変だよ!
だからと言って、市井に出るのは生活水準が落ちるから論外でしょ?僕はこれでも温室育ちだからね。世間の荒波で揉まれるとか、考えただけでも修験者の荒業レベルだよ。
その結果、消去法で成人後も屋敷に居続けたら、穀潰しだ何だと言われてしまった。
でもしょうが無いと思うんだ。僕のゆるふわボディを維持する為には、ご飯を3食キチンと食べて規則正しい生活と睡眠プラスお昼寝が必要なんだから。
それにストレスは大敵だよ!ストレスは僕を駄目にするからね!僕はもう社畜に戻らないって、生まれた瞬間に決めたんだ!だから、父様と母様にもそうやって説明したのに、何故か全く理解して貰え無かったよ……。
これからは家名を名乗る事も駄目だって言われてしまった。そう……僕は家族に捨てられたんだ…。
悲しくて止めどなく涙がたくさん落ちてくる僕に『甘えるのも大概にしろ!』と、一番上の兄様が修羅の如き顔面で僕に向って叱責した。
いつも思ってたんだ、兄様、静かに喋らない
から、唾が飛んで来て汚いんだよ。いい加減直してくれないかな?後々『唾掛け領主』って皆に呼ばれても僕知らないよ?
2番目の兄様は、仁王立ちで腰の剣に手を掛けて今にも抜刀しそうだ…。そうやって直ぐに暴力に訴え様とするから『暴君筋肉オーガ』って変な渾名を付けられるんだぞ!そう言うのは騎士団でやってよ!
3番目の兄様は意味なく眼鏡をクイクイ上げてる。その癖ウザいから他の人達からも不評なの知らないのかなぁ…。それともまさか格好良いと思ってやってるの?もしそうなら、ちょっと……大分イタイね。
そんな僕の心の声がつい漏れてしまっていた様で、3人とも顔を真っ赤にして激おこプンプンだ。真実って時に人の心を抉るよね。たった今、その3人に心ない言葉をぶつけられ、僕も抉られてるからよく分かるよ。
僕ハートブレイク。誰か優しく癒して欲しい。
でも誤った認識は訂正させて頂くよ!
『ゆるふわボディ』はデブじゃないんだ!僕は、筋肉の代わりにうっすら脂肪を纏っているだけ。そう!あくまで『うっすら』だ!
デブと称する場合は、少なくとも10層以上の脂肪層を形成している豊満ボディの事を言うんだぞ?僕はまだ2層くらい?かな??
その後も3人掛かりで詰め寄られ、激しくストレスを感じた僕は、いつまでも握っていたくなると、握手した同級生達に言わしめたスクイーズ玩具のような自分の手を握って耐えた。
僕が女の子だったら変な輩に狙われない様に注意しなきゃいけなかったよ。……あ、僕の場合は男でも気を付けた方が良いかも……。
良かった……ここで自覚してなきゃ危なかった……。僕はヤラないし、腐った人達の養分にも決してならないぞ!
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