44 新たなる試練

リヴォールを討伐した後の余韻が消えぬまま、俺は次の狩猟場へ向けて歩みを進めていた。

どこか重たい空気が漂う中、体に残った疲労を感じながらも、それを引きずらないように前を向いて進む。

戦いが終わったことで一息つきたい気持ちもあったが、足が自然と新たな戦場に向かわせている。

心の中で湧き上がる焦燥感がその歩幅を速めさせる。


周囲は静寂に包まれ、少しずつ景色が変わり始めた。

廃墟のような荒地を抜け、少しずつ新しい地形が視界に入ってくる。

その先に、俺を待っているものがいる。


神威の声が静かに響く。

「お主が常に戦闘を求める以上、同じく戦闘に身を置く者たちとの遭遇は避けられない。」


その言葉に、胸の中に熱いものが込み上げてきた。


まだ見ぬ強大な敵がいることを俺は知っている。

それが何であれ、俺には立ち向かう覚悟がある。


怖れることはない。


前方に一瞬、影が見えた。


それは立ち止まると目の前に広がる丘の向こう側に、薄暗い霧に包まれた一帯に続いていた。

そこが次の狩猟場へと繋がる場所だろう。

霧が立ち込めるその先に、次の魔物が待ち構えていることは確かだ。


俺は一度立ち止まり、深く息を吐いた。


「何事も準備しておくべきだ。戦いの前に、少し休息を取れ。」

神威の声は冷静だ。だが、いつになくその言葉には温かさを感じた。


「わかってる。」

そう言って、俺はしばらくその場で足を止め、休息を取ることにした。


呼吸を整え、精神を落ち着ける時間が必要だ。

振り返れば、これまでの戦いを思い返し、すべてを乗り越えてきた自分を感じることができる。

そして、それに続く新たな試練に向かう準備が、少しずつ整っていく。


空を見上げると、微かに雲が流れ、風が顔を撫でていく。


これからまた新たな戦いが始まる。


準備は整った。

戦いがどんなものでも、俺はそれに立ち向かう覚悟を持っている。


試練を迎え撃つ準備は、すでに整ったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る