元勇者は戦闘狂、目立つと面倒だから透明になって無双狩り、妖刀魔石を携え狩りまくる!!

魔石収集家

1 元勇者は戦闘狂

金色の巨大な龍、ゾルヴェイン、SSランク


咆哮が辺りを飲み込み、世界そのものが震える。

目の前の巨体は空を覆い尽くし、陽光を吸収したかのような金色の輝きが目を刺した。


風が俺の顔を叩きつけるたびに息苦しさすら覚える。

金色の鱗は一枚一枚が鏡のようで、光が乱反射して全貌を見失いそうになるほどだ。


「ゾルヴェイン――観てみたが…これまでに1500人ほどかの…屠ってきておる」

神威の声が低く響き、冷たい空気がさらに張り詰める。

「その記録、今日で終わり」俺は霊刃を握り直しながら呟いた。


「手を抜けば命を落とすぞ」

俺はその言葉に反論する余裕すらない。


龍がゆっくりと頭を持ち上げ

次の瞬間

山を削るような

尾の一振りが迫る


全力で地を蹴って飛び退いたが、遅すぎた

尾の先端が俺の右肩を掠めた瞬間、鋼のような鱗が肉を裂く感覚が全身に走った。


激痛とともに血が噴き出し、肩口から腕までが真っ赤に染まる

皮膚が裂け、筋肉が剥き出しになった部分から生臭い鉄の臭いが漂い、目の前が霞んだ。

俺は片手で肩口を押さえながら立ち上がった。


金龍の目が俺を見下ろす

その目には俺を完全に獲物と見做した冷徹さが宿っていた。


巨大な翼が広がり

空気が震える

龍が

大きく息を吸い込む音が

耳をつんざく


「ブレスが来る全力で避けろ!」

神威の警告が届いた瞬間、金龍の口から金色の光が放たれた。


それは熱と光が混ざり合った灼熱の波動だった。


俺は反射的に大地を蹴り、横へ飛び出した。


爆発音とともに背後の大地が炎に包まれ、岩が砕け、熱風が体を押し飛ばす。


息を切らしながら霊刃を構え直す。


金龍の攻撃から逃げたり受け流しているだけでは勝機はない

俺は龍の懐に飛び込むために地を蹴った。

だが、龍の爪が予想以上の速さで俺を迎え撃つ。


鋭い爪が腹を掠めた瞬間、鈍い痛みとともに温かいものが流れ出す感覚がした。

視線を下げると、鎧の隙間から血が滴り落ちていた。


「その傷では持たぬ。薬を使え!」

神威の声が頭の中で響いた。


俺は腹を押さえながら懐に手を伸ばし、特製の回復薬を取り出す

ゾルヴェインがこちらを睨む中、一瞬でも気を抜けば命を取られる。


薬の栓を歯で引き抜き、一気に飲み干した。


喉を通ると同時に体が熱を帯び、血が止まり、傷が塞がっていくのを感じる。

腹の痛みが薄れると同時に視界が明瞭になり、力が戻ってきた。


「よし、行くぞ!」

体が回復すると同時に集中力が蘇る。


ゾルヴェインの一挙一動が鮮明に見えるようになった。

その動きは巨大な体からは想像もつかないほど素早く、正確だ。

だが、俺はもう怯まない。


一撃

二撃

三撃

翼を狙った斬撃を連続で叩き込む!


「次は首元を狙え。唯一の隙だ」

神威の声が低く響く。

その冷静な言葉に背筋が張り詰め、俺は血に濡れた足元を蹴って金龍の首元へと駆け寄った。


荒れた大地を踏みしめるたびに、土と血が絡みつき、粘つく感触が足に纏わりつく。


目の前の金龍が

巨大な頭を

わずかに傾けた

その瞬間――

大地を蹴り一瞬で接近、黒炎を纏った霊刃を振り下ろす!


刃が鱗に触れた瞬間、鉄が裂けるような高音が響き、火花が飛び散る。

ゾルヴェインの巨体が一瞬揺れた。

鱗と肉の間に食い込んだ刃の感触が確かに伝わってくる。


だが、ゾルヴェインは怯むどころか怒りを爆発させたかのように翼を広げ、空へ飛び立った。

その動きで巻き上げられた風圧が俺の体を吹き飛ばす。

再び立ち上がった俺に、黄金の目が突き刺さるように睨みつけてきた。


「正念場だ。気を抜くな」

「ああ、わかってる…」


龍が再びブレスの構えを取った。

空気が引き裂かれるような音が響き、金色の光が俺を飲み込もうと迫る。


俺は地を蹴り

自分の背後に閃光魔法を放ち

ゾルヴェインの視界を奪う

再び懐に飛び込み

この一撃で決めるつもりで

全力で

霊刃を振り下ろす


霊刃がゾルヴェインの首元に食い込み、黒炎が鱗の隙間を焼き尽くしていく。

金龍の咆哮が轟き渡る。

口から血混じりの熱風が溢れ出し、巨体が激しく暴れる。

俺はさらに力を込めて霊刃を押し込み、黒炎を爆発させるように拡散させた。


黒炎が

爆発的に広がり

金龍ゾルヴェインの首が

断たれる


巨体は

ゆっくりと崩れ落ち

大地に叩きつけられた



俺の勝ちだ!

全身が痺れるような快感に包まれながら、霊刃を腰に収めた。

本能的な達成感――これが俺の生きる理由なのだと、脳が全身に信号を送っているようだった。


心臓が早鐘のように鳴り、血液が熱く沸騰する感覚に酔いしれる。

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