第37話 野獣先輩と無人殺戮重機の戦い
夜明け前の草原は、静寂に包まれていた。まるで時間が止まったかのように、風すらもその足を止めていた。
しかし、その平和は、遠くから響くエンジンの唸り声によって打ち破られる。草が揺れ、土が舞い上がる中、野獣先輩が操縦する巨大な重機が現れた。
「今日は草原を冒険するぞ!」
野獣先輩は、そう宣言すると共に、重機のレバーを力強く握った。彼の乗る重機は、通常の建設現場で見かけるものとは一線を画す。巨大なタイヤ、アームには通常のブルドーザーにはない特殊なアタッチメントが取り付けられている。それはまるで、草原を切り開くための武器のようだった。
「さあ、これからだ!」
重機が動き出すと、草が次々と踏み倒され、地表が削られていく。野獣先輩はレバーを操作しながら、草原に眠る秘密を暴き出すかのように進んでいった。進む先には、岩や小川があり、それらをものともせずに重機は進撃を続ける。
「おい、何か見つけたぞ!」
彼が見つけたのは、草に埋もれていた古い石碑だった。重機のアームを使って慎重にそれを掘り出すと、そこには古代の文字が刻まれていた。野獣先輩は興味津々でそれを眺め、
「これは一体何だろうな? 歴史の謎を解明するかもしれんぞ!」
と呟いた。しかし、そんな歴史的な発見も彼にとっては次の冒険への布石に過ぎない。野獣先輩は再び重機を走らせ、草原の奥深くへと進んでいった。
太陽が高く昇り、草原が黄金色に輝く頃、野獣先輩は一つの丘にたどり着いた。そこから見える風景は、彼の冒険心をさらにかき立てた。遠くには山々が連なり、その手前には広大な平原が広がっている。
「次はあの山だな。重機で登れるか試してやる!」
彼はそう言うと、重機のアクセルを踏み込み、新たな冒険へと出発した。野獣先輩の冒険は、草原から始まり、山へと続く。重機のエンジン音は、草原の静寂を打ち破り、冒険の物語を刻むかのように響き続ける。
この草原の冒険は、野獣先輩と重機が織りなす、壮大な一ページに過ぎない。彼の旅は、まだまだ続くのだ。
草原から山へと続く野獣先輩の冒険は、しかし、思わぬ敵と遭遇することで一変した。山の麓で休息を取っていた野獣先輩の耳に、異常な音が届いた。それは、通常の重機のエンジン音とは異なる、規則正しくも不穏な唸り声だった。
「何だ、あれは?」
彼はその音の源を探し求め、やがて見つけた。そこには、黒く塗りつぶされた巨大な重機が立っていた。その重機からは、無数のカメラとセンサーが突き出し、まるで生き物のように動いている。
「無人殺戮重機か! 面白くなってきたな」
野獣先輩は、自分が乗る重機のエンジンを再び咆哮させ、戦闘の構えを取った。無人重機も、まるで挑発を受けたかのように、重いアームを振り上げる。
戦闘が始まった。野獣先輩の重機が猛スピードで突進し、相手の側面に体当たりを食らわせる。
しかし、無人重機はその衝撃に耐え、すぐさま反撃を開始した。鋭いアームが野獣先輩の重機に向かって振り下ろされ、地面に深い傷跡を残す。
「おいおい、これは手強いな」
野獣先輩は笑いながらも、緻密な動きで相手の攻撃をかわし、自分の重機の能力を最大限に引き出す。無人重機は、プログラムされた通りに動き、野獣先輩の予測不能な動きに追いつくのが精一杯だった。
戦いは、山の斜面から平原へと移動し、周囲の自然を巻き込んだ壮絶なものとなった。野獣先輩は、重機のアームを使って無人重機のセンサーを破壊し、その視界を奪う作戦に出た。
「さあ、こっちだ!」
彼の声が響く中、無人重機は混乱し、動きが鈍る。野獣先輩はそのチャンスを見逃さず、重機の巨大なバケットで相手のバランスを崩す。無人重機はバランスを失い、巨大な音を立てて大地に倒れ込んだ。
しかし、戦いはまだ終わっていなかった。無人重機は自己修復機能を発動し、再び立ち上がる。野獣先輩は、これに驚きつつも、
「まだまだか、いいぜ!」
と、再び挑みかかった。最後の決着は、野獣先輩が重機のアームで無人重機のコントロールユニットを直接叩きつぶすことで訪れた。
無人重機は動きを止め、ついに静寂が戻った。野獣先輩は、少し息を切らしながらも、
「これで一つ冒険の話が増えたな」
野獣先輩は勝ち誇った笑みを浮かべた。彼の重機は傷だらけだったが、雑草魂のような冒険心はこれっぽっちも削がれていなかった。
「次は何が待ってるか楽しみだな」
そう言いながら、野獣先輩は次の目的地を目指して再び重機を走らせた。草原の冒険は、戦いを経て、さらなる深みと興奮を増していた。
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