第14話 そして関係はひびが入る
昨日のことを思い出しながら向かう学校は憂鬱さは感じ無かった。
『好き』ってなんだよ、生まれて初めて言われた言葉に照れることしかできなかった。
あの後は、みんなと他愛もない話をして帰った。ちなみになんの話をしたかは忘れてしまった。
しばらく歩き、学校に着いた。今日の学校はいつもと違う雰囲気を放っていた。
教室に入る時、ある違和感を感じた。なんか、俺を見る視線強くね? 明らかに問題児が来たかのような視線を向けられているな。俺何もしてないけど、どうしたんだ。
自分の席に座り、耳を澄ませながらスマホを触る。
「あいつが、水樹と沙也加と仲がいいやつ?」
「そうだよ」
「あいつ変な噂あるよな」
思ったより教室は静かで、ヒソヒソ話は嫌でも聞こえくる。
まぁ、そういうもんか。沙也加と水樹はお昼時間以外は違うグループにいる、そんな二人が俺と一緒昼食を食べていることに疑問を持つ生徒も多いか。
クラスの連中から見た俺はぼっちだもんな。
入学してから数週間が経過してるけど、友達ができそうな雰囲気は一切ない。悲しいほどにない。別に友達が欲しいとも思わない、人間関係は疲れるし、一人の方が楽だから。そんなことを考えていると、沙也加と水樹は仲良さそうに教室に入ってくる。
沙也加は、俺を発見すると意地悪そうに笑う。
その笑顔は、あまりにも綺麗で自分には勿体ないと思ってしまうほどに。
沙也加はまたいつものグループのとこに行き、喋り始めていた。
斗真もいつものようにスマホを触ろうとするとスマホの通知が鳴った。
(沙也加)「今日なんかいつもと雰囲気違くない?」
え? 俺はいつの間に連絡先を交換したんだよ。
(斗真)「俺は、いつ連絡先交換したんだ?」
(沙也加)「それは、内緒かな」
(斗真)「内緒って言えば、可愛いと思ってる?」
(沙也加)「安心して!! 私は可愛いから」
沙也加たちに視線を向けると、沙也加は器用にスマホを触ったり、友達の顔を見て話したりしていた。
可愛い.....
確かに、沙也加は学年1可愛いだろうな、それに水樹だって、この二人は別格だ。そんな美人二人と仲良さそうに昼食を食べている俺は嫌われるだろうな、それに、虫唾が走るだろうな。
視線をスマホに戻す。
(斗真)「確かに、可愛ーー」
「ねぇ、沙也加って斗真と付き合ってるの?」
文字入力していた手が自然と止まる。俺は気にしてない様子でスマホを触る振りをする。
「えーと?」
沙也加は困った顔を浮かべる。
「付き合ってないよ!!」
「だよね〜!! あんなやつと付き合うなんてないよね」
沙也加の友達は悪気のない声で、クラスみんなに聞こえるほど大きな声で言った。
沙也加は、苦笑いを浮かべていた。
『あんなやつ』か、まぁそうだよな。あんなやつ、あんなやつ。なんか悔しいな、自分がもっとイケメンだったら良かったのか? 俺がもっと社交的だったら良かったのか? なんで他人が他人を評価するんだよ、その人のことなんて知りも知りもしないくせに。
俺は、送ろうとした文を消しポケットにスマホを入れる。
教室の雰囲気は最悪に近かった。この重たい空気がまるで俺が悪いかのような雰囲気を感じた。
大丈夫俺は何も気にする必要はない、だから、大丈夫。
「だったら、優しさでお昼一緒に食べるのやめた方が良くない?」
沙也加の友達は悪気など一切なくただ友達として言っていた。
俺は誰かと関わることすら許されないか? 斗真は苛立ちを感じていた。
「そうだね」
弱々しい声で沙也加は言う。
沙也加の一言で何かが弾け飛んだ感覚がした。ちょっとは否定して欲しかったか、そんなことないよ! とか言って欲しかった。分かってる沙也加は何も悪くないの分かっているけど、少しは否定くらいしてくれよ。
斗真はスマホを取り出す。
(斗真)「そうだな」
送信ボタンを押し、俺は立ち上がり教室を出ようとする。沙也加に視線を向けると悲しい顔をしていた。
沙也加は「待って」と入力しようとするが、友達に声をかけられて入力することさえ許されなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます