第11話 19:10、【別サイドで何が起きていたか?】

 19:10に遡る。つまり賞金が六万円を突破した時分。

 突然、電話が切れたヒトはしばらく立ち尽くしていた。一向にテツ確保の知らせもなく、ため息をついたその時——


 バタバタ、という足音が聞こえた。


【見つかった……!】


 ヒトは走り出した。まだ、ハンターとは距離がある。おそらく140メートル。左に曲がれば、直線型のハンターとは今より距離が20メートル分、縮むだろう。ヒトは斜め356度を保ちながら、しばらく走った。


「少し、差が開いてきたかな……」


 ハンターはルート取りに少し迷っているようだ。棒人間は足の速度を速くした。呼吸を限界までした。喉の奥が冷えた。呼吸を止めてしまいたいが呼吸をする。痛い痛い。

 がしかし棒人間はもう。棒人間はしばらく走ると、木の影を巧みに使い、ハンターを振り切った。

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