第5話 19:02 【パグにハンターが!】

 ハンターボックスから320m離れたところに、一人の逃走者の姿があった。パグだ。

 パグも足は速くはないが、学校時代の筋トレの成果で、体重が重い。そして、筋トレを怠って、今ではただの中年男性になってしまった。体重は変わっていない。

 

「わん! 今日こそは絶対に逃走成功するぞ〜!」とパグは拳を突き上げた。


 その声がこだまして、一人のハンターがパグを追い始めた。パグが何気なく振り向くと、ハンターはもうパグを捉えていた。


「くぅぅ〜ん!」


 パグは本気で走り出した。汗がひどい。呼吸するほどに肺の奥が冷える。ゼーゼー、ゼーゼー、考えることをやめた。気がつけば、転んでいた。


 パグ、確保。賞金12000円が、水の泡になった。

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