サザンオールスターズ殺人事件
雛形 絢尊
恋のジャックナイフ
「桑田さん、桑田さんって」
何度も呼びかけるが反応はない。
彼は飲み会の途中で眠りふけていた。
「朝早くから並んでいたんだよ」
彼はむにゃむにゃと寝言を垂らしている。
「桑田さんって」
ようやく目が冴えてきた。
目の前にはユウコがいる。
「皆さん帰ってしまいましたよ」
やってしまったと頭を抱える。
何人で呑んでいたっけ、
そんなことを考えていた。
「帰りますよ」
居酒屋の小部屋で、彼女の足に触れた。
わざとではない。
会計を済ませてくれていたようで、
せっせと店外に運ばれた。
虚ろ虚な目で夜の街に目を凝らす。
支えるようにユウコが横にいる。
その中で桑田は、
「キャバクラよ何故」
と歌い始めた。気分が良かったのだ。
「行きますよ、ほら」
夜の街は賑やかで様々な声が聞こえてくる。
ぼやけたような景色を見ているが、
彼らは警察管轄の探偵だ。
「松田さん、おはようございます」
ユウコは彼に告げた。おはようと返す。
近くで椅子に腰掛ける桑田は、
タブレットで政治家のニュースを見ている。
「今回の事件ですね、ラチエン通りの」
「ほうほう」
近くでポットに水を貯める関口は微笑んだ。
「遅れた遅れた」と野沢が現れた。
「遅いですよ」とユウコに注意されていた。
「では行きますよ」
とユウコは仕切り直す。
街に出る。
五人は横に並んで歩くのだ。
広い通り、注意されはしないと思うが、
言っておく。彼らは一応と警察だ。
「今回の凶器はジャックナイフ」
「ほう、恋の」桑田が言う。
「離れないでくださいね」
「ミイラ捕りまでミイラになるかもな」
松田が言ったあとに
桑田が「I say...」と呟いた。
「ここです」ユウコが指差す場所に
黄色の捜査線が張られている。
「ミスド何か買ってくる?」
と関口がいきなり言う。
桑田が「ポンデリングでよろしく」と言った。
松田が捜査線をくぐり、その場所を見た。
「マリワナ伯爵」「どうしたんですか」
「ダイイングメッセージか?書かれている」
「このマリワナ伯爵が犯人なのか?」
「被害者の名前は」
桑田が近くの捜査員に聞く。
「MARIKOという女性です」
「勝負、勝負、勝負に行こう」
桑田がつぶやいた。
関口はミスタードーナツで買い物をした後、
街路樹の下を見ていた。
「ここに希望の種は植えないでくださいね」
とユウコは言った。関口は照れて笑っている。
「いました!マリワナ伯爵です!」
捜査員が声を上げた。
皆の視線がそちらに向けられた。
「追え!」と桑田はそちらへ駆け出した。
しばらくしてマリワナ伯爵は捕まったのだ。
だが、そのマリワナ伯爵という名前は
別の人物であることがわかった。
ユウコが真剣な表情で言う。
「この事件、ステレオ太陽族という集団が
関わっている可能性が」
サザンオールスターズ殺人事件 雛形 絢尊 @kensonhina
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。サザンオールスターズ殺人事件の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます