第18話:乳幼児の喫煙は推奨されておりません。
「———〜〜〜ッ!!」
とある
俺のことなんだけどね!
「はわぁぁぁあぁぁ〜〜〜!!」
何やってんだ俺ぇ!
いやッ、ほん、ほんとに何やってんの!?
いくらOYSの能力に公式名称が無かったとはいえ、語ったやつがもう死ぬ事になるところも踏まえて!
流石にあの時はテンションがハイ⤴︎!! になっていたとしてもなんだあの名乗りは!
ちらり、と思い出してみる。
『俺の能力は『
「ふぬぅお〜ッ!」
はっ、はははは、恥ずかしすぎだろ! なんだよ『ザ・ワールド』って、DI◯じゃあないんだから!
あっ、これ止められない。一度頭によぎっちゃったら思い出すのをやめられないパターンだこれ。
俺の意思に逆らってその続きが再生される。
『俺は『
「ギィィィぁぁぁ゛ッ!!」
はっ、恥ずか死してしまうわ!
フロアに背中をつけ、意味もなく、ただ足と腕を赤ちゃんのように上下に揺すってしまう。
冷静な俺だったら今の姿の方がよっぽどだと思うが、今は冷静じゃないからどうだっていいよねおぎゃぁぁぁあ!!
『……………スッ』
つい最近叩き起こしたお手伝いロボットくん三世が、拡張パーツの中からガラガラを取り出し、俺の眼の前で規則的に振る。
うん、赤ちゃんにはそれでいいかもしれないんだけど、俺、赤ちゃんじゃないんだ、ばぶぅ……………いやその機能どこで使うんだよッ!!
「ッ! そろそろ思考を元に戻そう」
脳の奥底でイキったセリフが鬼リピートされているのを感じながら、三世くんに代用コーヒーを入れてきてとお願いする。
……………なんで動かないんだよ。なになに? 『乳幼児に多量のカフェイン接種は好まれません』? ……やかましいわッ!!
命令を受け止めたお手伝いロボの背中を見送りながら、どうやって
っていうか、三世三世言ってるけど、あいつ一番最初に作られた初号機だからな。博士のネーミングセンス、これがわからない。
閑話休題、オルターならばバーナテヴィルを追うという判断をするだろう。次に目撃情報があるのは雪山、『シタイ山脈』の中腹らへん。今回は天然の冷却機能が吹き荒れているから俺に有利だ。それと……主人公が初めて別部隊の幻想少女と相対することになっている。
あの二人は独特だからなぁ……まぁなんとかなるでしょ(適当)。
『……』
「ありがとう」
三世が持ってきたコーヒーを啜りながら、スパナを使って両足を外す。
今までこれで戦闘を賄ってきたが、流石に性能不足感が否めない。この一週間で全力で改造し、せめて『タキオン』を2回弱使えるようにしなければ。
「あぁ……『クレシューズ』が恋しい」
オルターが技術の髄を使い潰して制作してくれた、唯一無二の伝説級オブジェクト。当時からも、『なんで今の技術でここまで強いのができたのかわからないんだけど! なんか自分に負けた気がする!!』ってぼやいてたなぁ。
「……」
煙草に火を付け、紫煙を燻らせる。
吸い始めたあの日に比べて、随分と指先が冷たくなったと感じるのは気のせいだろうか。
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