第5話 快楽と裏切り

ある日、体調を崩して自宅にいると、電話が鳴った。


―――――――――20分後。


「……。」


ドアを開けるとママ。


数年ぶりに会う前ママは衣舞とよく似ていた…。


小さな鞄一つでドアの前に立っていた。


「入って」

「…涼太!!」


酒の匂いが凄い。

でもふわっと香る懐かしい母の匂いもある。


家の中に入れてソファに座らせると、僕に体を任せて寝始めた。


どこからどう見ても…衣舞だった。


そのままソファに寝かせて毛布をかけた。


髪の隙間から見える沢山のピアス…。

綺麗な首筋…。綺麗な細長い指…。


あろう事か、寝てるママにキスをして慰め始めた…見てるだけでいい。


暗闇の中ママを見ながら声を抑えていた。



でもそのうち膝が辛くなってきて母に背を向けて続けていた。


すると、急に首に甘く噛み付かれた。


「…はぁあっ!…」

「ママ見てなにしてんの」

「……。」

「やめなくていいから。見せて。」


僕は何を勘違いしたのか、

後ろを向いて母に見せ付けた。


「ママに見せて楽しい?」

「はい…」

「ママに入れたいの?」

「違う…」

「見てて欲しいの?」

「はい…。ママ見ながらしてたい…。」

「いつから?…」

「……」

「いつから?」


責め方が衣舞と全く同じだ…。


「…衣舞の耳開けてから。」

「あの子の耳開けたの?」

「開けた。」


「……」

「…ごめんなさい。」


ママは僕を痛いくらいに包み込んだ。


「いつか種明かししてあげるから。」

「もう分かってるからいいよ。」

「ごめんね。」


「アミ。」

「なに?」

「僕はアミが好き。…本当は多分衣舞じゃない。」

「…それは絶対衣舞に言わないで。いい?」

「うん。」

「アミとの約束。できる?」

「できる。…大体わかったからさ、でもその上で俺、アミの事好きでいていい?」


「……続き見せて?」


アミは僕にキスして爪の先で首筋を這わせてからまた噛み付いた。


「……衣舞とはしたの?」

「した…」

「一緒だった…?」

「でもアミがいい。」


「…こっち座って。」

「はい…」







――――――――――――――――――。



疲れ果てて眠っていた。

目が覚めるとアミはもう居なかった。



(……!!…やられた。)



―――――――――(呼び出し音)


「ルイ…」

「おはよう。どうした?」

「アミを泊めた。でも起きたら居なくて、財布抜かれた。」

「予想できたでしょ?」

「そこまで頭回ってなかった。」

「…一応病院行きなよ。」

「病院?」

「泊めておいてなんもなしなんてないでしょ。一人なんだし。」

「…じゃあルイとする前にはクリアな方がいいのね?」

「当たり前でしょ。くだらない事行ってないで検査だけはちゃんとして。いい?」

「アミはそんなに危険なの?それに入れてない。」

「入れてなくても口でくらいあったでしょ。」

「手だけ。」

「一応行ってきて。お金ないなら出すから。衣舞の事もあるでしょ。」


ルイは全てお見通しだった。


「わかった。」

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