第8話 わからせる悪役令息
「朝か」
叙勲式の翌日。
太陽──エリス様と共に一時でも長く寄り添うべきだという理由で窓にカーテンが付けられていないため朝日で目が覚めた。
前世なら「ふざけんな! 遮光カーテンよこせ!」とブチギレたところだが、この若い体のせいなのか、日が落ちて間もなく寝たせいなのか、日の光で目覚めるのも悪くないように感じる。
今は朝の四時台くらいか。
他の修道者も起きたのか、外で衣擦れの音が聞こえる。
「うう……」「ねむ……」
俺と同じで太陽の光にさらされて起こされたようで、同室のロイドとアンディ──マッセ教会から馬車で同道してきた男衆が呻き声を上げながら目覚める。
思春期の眠りたい盛りに四時起きをつらかろうなと思いみると眠そうな顔で着替え始めた。
何かの拍子に転んだら、転んだまま寝そうな感じだ。
俺も着替えるか。
昨日、教皇のモンローから今日の朝イチから戦闘訓練に入るって言ってたからな。
一応軍属みたいなもので遅れたらなんか罰とかありそうだし、何よりもできれば訓練終わりに一ヶ月後に封印が解除される可能性が高い前魔王に向けて準備をしたいのであまり時間の制約がかかるリスクを負いたくない。
「井戸に行くぞシド、アンディ。俺たちの戦いはこれからだ……」「顔を洗わないと一日が始まらないしな……」
遅れたら大変よと思っていると緩慢な動きで二人が動き始めた。
カタツムリみたいだ。
井戸に到達する頃には日が暮れそうだな。
「洗顔はこれで十分だろ。食堂に行くぞ」
遅れたら連帯責任なので、初級水魔法の「水球」をぶつけて強制的に洗顔を済ますと食堂に行くように促す。
「目が覚めた」「シドが魔法が使えて助かったよ」
覚醒した二人とともに食堂に行くとステラ、ニナ、ロンナの女衆一行とちょうど合流した。
「シド様、ロイドさん、アンディさん、おはようございます」「男どもおっす」「もう食堂混んでるし」
朝からくたばっていた男衆と違いこっちは元気そうだ。
こっちも死んでたら水をかけようと思ったが要らなそうだな。
「おはよう」「おっす」「おはよう。回転率早いしすぐだろ」
「確かによく見ると結構入れ替わってるわ。家から出てないから慣れないなここ。あたしの家……」
ロイド、アンディと共に挨拶を返して、ロンナの懸念について答えるとホームシックな雰囲気を出し始めた。
突っ込みにくい話題だし、家が恋しくても戻れないからな。
一旦スルーするか。
昨日偽聖女二人がちょっかいを掛けそうな雰囲気があったので来るかと思っていたが、何もなく朝飯も食い終わり、戦闘訓練の集合場所である鎧置場に向かう。
講師は誰かと思い現場に到着すると偽聖女の片割れ──赤髪の方がいた。
こいつが教師か。
もうなんだか展開が見えてきた気がするな。
「素手で倒したて言ってもね。鎧の方がダメなら何も意味もないじゃない。私が思い上がりを正してあげるわ。鎧に乗りなさいシド」
「指導というのなら受けるとしよう」
案の定吹っかけてきたので、このまま受けることにする。
これ以上絡まれてもめんどくさいからな。
〜5分後
『きゃああああ!』
よ、よえー……。
ダルマになって名前も知らない赤髪の偽聖女の乗る鎧が地に伏す。
魔法とは違った超常や力を使える加護を持っているようで、周りに炎を召喚して攻撃してきたが、避けて風魔法で偽聖女の鎧が燃えるように煽るとまんまと四肢を焼失させて自滅した。
もうこのレベルだと戦いでも何でもないな。
「俺の勝ちでいいな。お前はいくら何でも鎧の操縦が下手すぎる。こいつらは俺の方で指導させてもらうぞ」
『クッ!』
悔しそうな呻き声が聞こえてくると、赤髪の偽聖女が大破した鎧から睨め付けながら出てきた。
自業自得だし、ほっとくか。
「よし、鎧の訓練始めるか」
「「「「うぃす」」」」
───
続きを書くモチベになるので、是非とも星⭐︎⭐︎⭐︎、フォローお願いします!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます