第22話 ゼロ地点の内部
ゼロ地点の施設内部に潜入した雅史、玲奈、大介の三人は、地下通路を慎重に進んでいた。狭い通路は暗闇に包まれ、彼らの足音だけが響いている。
玲奈がタブレットを片手に、地図を確認しながら言った。
「ここからさらに進めば、施設のメインフロアにたどり着ける。でも、内部は完全に敵のテリトリーよ。気を引き締めて。」
大介が小さく笑いながら肩をすくめる。
「もうすっかり緊張感には慣れちまったよ。俺たちなら突破できるさ。」
雅史は土鍋を背負い直し、静かに頷いた。
「そうだな。パッタイの力もある。冷静に行こう。」
進んだ先に待ち受けていたのは、巨大なホールだった。高い天井に無数のケーブルが張り巡らされ、中央には巨大なタワー型の装置がそびえ立っている。
玲奈がその装置を指さして説明する。
「あれがパンティゼロ化計画の中枢装置だと思う。これを止めれば、奴らの計画は完全に破綻する。」
雅史は装置をじっと見つめ、静かに言った。
「簡単にはいかないだろうな。周囲の様子からして、罠が仕掛けられているはずだ。」
その言葉の通り、次の瞬間、ホール全体に警報が鳴り響いた。
「侵入者を排除せよ!」
天井から降りてきた複数のドローン、壁から現れる武装した兵士たち。彼らは一斉に雅史たちを囲み始めた。
大介が構えながら叫ぶ。
「来やがったな!お前ら、全力で行くぞ!」
玲奈が端末を操作しながら叫ぶ。
「私が装置を停止する時間を稼いで!その間に敵を引きつけて!」
雅史は土鍋を地面に置き、素早くパッタイの調理を始めた。
「俺に任せろ。パッタイの力で突破する。」
湯気が立ち上り、香ばしい香りがホールに満ちる中、雅史は完成したパッタイを一口食べた。身体に力がみなぎり、目の前の敵を見据える。
「これが俺の戦い方だ。」
雅史は冷凍パンティの刀「パンティブレード」を構え、ドローンに向かって跳び上がった。一撃で一機を撃墜し、その破片が他のドローンにも当たって次々と墜落する。
大介も兵士たちに向かって攻撃を仕掛け、力強いパンチで武器を奪い、混乱を広げていく。
「俺たちをなめるんじゃねえ!」
玲奈はホールの端で集中して装置の制御を試みていた。
「防御システムを無効化するまであと少し…!持ちこたえて!」
だが、その時、ホールの奥から重い足音が響いた。現れたのは、黒いアーマーをまとったグリーヴァス卿だった。彼は不敵な笑みを浮かべ、雅史たちを見下ろして言う。
「ようやくたどり着いたか、泰雅史。そしてその仲間たちよ。」
雅史はパンティブレードを握り直し、卿に向き直る。
「お前がいると思ったよ。これ以上好きにはさせない。」
グリーヴァス卿は冷たい笑みを浮かべながら、背中に取り付けられた巨大な装置を起動させた。それは「パンティエリミネーター改」と呼ばれる、さらに強化された兵器だった。
「貴様らの抵抗は無意味だ。この装置で、お前たちもパンティも完全に消し去ってやる!」
ホール全体が揺れるような轟音とともに、パンティエリミネーター改が稼働し始めた。吸引力が急激に増し、床や壁の一部が次々と吸い込まれていく。
玲奈が叫ぶ。
「装置を停止するまであと2分!それまで耐えて!」
雅史は土鍋を盾にしながら、吸引に耐えて叫んだ。
「大介、玲奈を守れ!俺がこいつを食い止める!」
グリーヴァス卿と雅史の最終決戦が、ついに始まろうとしていた――。
(第22話 終わり)
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