【序】
ここは天地人の三つの目を持つ
古来より神の住まう湖として崇められる
世界の中心たる耀王の権威も、四十六世八百余載にして漸く衰えを見せ、時代はやがて、諸氏諸侯による中原の逐鹿戦へと移ろおうとしていた。
加えて北狄南蛮諸王が中原に覇を唱えんとし、虎視眈々と進出の機会を狙っていたのだ。
中原諸国の人々は皆、迫り来る動乱の気配を
そんな時代に六公国の一つ
伽弥はその
その伽弥が、此度耀の王子妃として嫁ぐことは、巷間の耳目を幾重にも集めていた。
それと言うのも曄国内では、辺境伯
その胡羅氾から伽弥を嫡子の妻にと望まれた曄公は、窮余の策として王室に手を回し、娘と第二王子の婚姻の儀を取り纏めたのである。
衰えたりとは言え王室の権威を利用して、胡羅氾の野望を挫こうという、曄国朝廷の苦肉の策であった。
このように波乱含みの政略結婚の
物語はそこから始まる。
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