第2話 勝負をしよう
「また負けた!もう1回!!」
「またかよ、お前は分かりやすすぎるんだよ。」
依頼の来ないポリゴンファクトリーは平和である。
その証拠にサイキの弟のシーカとシーカの弟のシラゴがカードゲームをしていた。
シーカは明るいネオンピンクに縁どられたひし形の形をしていて真っ黒顔の中に信号機のように目が縦に2つ並んでいる。
一方のシラゴは紫に縁どられた五角形に似た形をしており、目は額の部分に1つ下に2つついている。
この二人がなぜカードゲームをするに至ったのか、それは仕事がこなさ過ぎて暇をもてあそんだシラゴが外の仕事から帰ってきたシーカに勝負を吹っかけてきたのだ。
しかし自分から勝負をかけてきたのにもかかわらず連戦連敗を喫しているのだった
「なんで?」
「おまえは顔に出ているからわかりやすいんだよ。」
落ち込みかけているシラゴにシーカは言葉で
追い打ちをかけた。
さらに追い打ちをかけようとした時、シーカ
の頭にサイキの手が触れた。
「それぐらいにしとけ。お前たちいくら暇だからってたるみすぎだぞ。
それにシーカ・・・」
「やべっ、レポート忘れた。すぐ書く、書くから、シラゴ勝負はお預けだ」
仕事が残っていたことを思い出したシーカは急いでタイプライターをセットする。
タイプライターの音がぱちぱちと社内に響く中、シラゴはサイキに耳打ちで相談した。
「シーカ兄さんに勝ってみたいんだ。協力してくれよ。」
「お前が小手先のズルを使ってもあいつに負けるだけだぞ」
シラゴはサイキの手をつかみ懇願した。
「俺いっつも負けてばっかりだからさ、たまには勝ちたいんだおねがい?」
弟のお願いには少々弱いのかサイキは根負けしたように了承した。
サイキも耳打ちでシラゴにある作戦を伝えた。
その様子をタイピングの手を緩めずシーカは見逃さなかった。
シーカのレポートも終わり、いよいよシラゴ・サイキ連合チームとシーカがカードゲームを再び行うこととなった。
シラゴの後ろにはサイキが控えており何やら紅茶の用意をしているところだ。
序盤はシラゴ達がリード、その勢いのままと思いきやサイキが「紅茶淹れてやるよ。シラゴはミルク入れるよな?」とシラゴに尋ねた。
シラゴは「ミルクと砂糖も入れてくれ。」といつもなら顔を見ていうはずのシラゴがサイキを見ず答えた。
2人の紅茶を差し出した。シーカの分は利き手のほうにカップを置いたのに対し、シラゴのほうは利き手じゃないほうに紅茶のカップを置いた。
サイキは再びシラゴに尋ねた「マフィンと蒸しパンどっちがいい?」シラゴはマフィンを選んだ。
その様子を見てシーカはカードを切った。
それまで劣勢だったシーカが盛り返し、兄の逆転劇に対応できずにサイキの助力も虚しくシラゴが再び負けてしまった。
「なんで?!!作戦立てたのに?!!」
「あのな、まず俺の前で作戦を話すな。あと露骨に紅茶のタイミングがわかりやすいしカップの置き方でだいたいの意図察しられるから最初泳がせて調子こいたとこで逆転したんだ。」
ぐうの音も出ない。サイキもまずいと思ったのかシラゴから目をそらす。
「しっかしまあなんで今頃俺に勝ちたいと思ったんだ?」
シーカは情報屋だ。
もしかしたら弟が何かトラブルに巻き込まれていて助けを求めているのではないかと感じたのだ。
シラゴは重い口を開く。
「この前バーでカードゲームしたら連勝しちゃってそれで浮かれてシーカ兄さんにも勝てると踏んだんだ。」
シーカは少し考え込んだ後、口を開いた。
「シラゴ、お前先週の夜夕飯近所の食堂で食ってきただろ?」
「うん」
「お前そこで喧嘩しただろ?」
「仲裁はしてきただけだとおもう毛ど・・・」
「仲裁か・・・お前が酔っ払った竜人を蹴り飛ばしただろ。その時すごいバキボキと音がしたって噂があったんだ。」
「たしかに全体重かけてけったけど・・・」
「昨日バーに行ったんだがみんなお前のことが怖くて遠慮してたって」
シラゴは真っ青になった。
まさかの真相に黙ってしまった。
落ち込んだシラゴに対しまずいと思ったのかフォローをした。
「ゲーム強くなりたいなら、今夜来い。練習付き合ってやる。ハンドサインとかのやり方も教えてやるから。」
その日の夜、シーカとシラゴの特訓が開始されるのだった。
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