第11話

段々畑の草取りを、せっせとしている老人がいた。

「あの人が島田さんです」

亜紀が説明した。

「こんにちは。島田さん。腰の痛みは如何ですか?」

「何ね。あんたは。何でその事を知ってるんじゃ」

「島田さん、診療所に新しく来た桐野先生」

亜紀が優弦を紹介した。

「桐野です。島田さん、一度診療所へ来ませんか?」

優弦は柔らかな笑顔を見せた。

「ふん。医者か。私ゃ医者には用はない」

島田老人はソッポを向いた。

もう一人の斉藤も同じ態度だった。

「僕が気に入らないのは残念です。でも本土の先生なら信用出来ますよね。だから本土の病院行って下さいね」

優弦は斉藤老人に言った。

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