これって怠けですか?

星咲 紗和(ほしざき さわ)

第1話 朝が始まらない日常

目覚まし時計の音が部屋に響く。何度目のスヌーズだろうか。薄暗い天井を見上げながら、体はまだ動かない。頭がズキズキと痛み、体は鉛のように重い。起きなきゃと思っているのに、起き上がるどころか布団から腕一本動かすのも億劫だ。そんな状態がどれほど続くだろうか。時計を見る勇気すらない。


家族が部屋のドアをノックする。「早く起きなさい、遅刻するよ」。その声が遠くから聞こえてくる。でも、心の中で何度も叫ぶ。「起きたいんだよ、でも起きられないんだ」と。


周囲から見れば、私は「怠けている」だけに見えるのかもしれない。実際、家族も学校の先生もそう思っているようだった。たしかに、私は布団の中でじっとしている。けれどそれは楽をしているわけじゃない。朝、目が覚めたときに襲ってくるこの感覚は、ただの疲労感や眠気とは違う。頭が割れそうな痛み、手足が動かない無力感、そして「今日もまたダメだ」という絶望感。それらが一気に押し寄せてくる。


ある日、勇気を出して友人に話してみた。「朝起きられなくて…体が動かなくてさ」

「それってただの怠けじゃないの?」という返事が返ってきた。冗談半分だったのかもしれない。でも、その言葉は私の胸に深く刺さった。自分でもそう思っていたからだ。


学校に行けなくなる日が増えるたび、自己嫌悪が募る。親の期待にも応えられず、友人の輪からも離れていく。「怠け者」と思われるのが怖くて、本当のことを誰にも言えない。私が戦っているのは、体の不調だけじゃない。周りの視線や、自分自身への厳しい言葉とも戦っている。


布団の中で、私は今日も静かに祈る。いつか、これが「ただの怠け」ではないと、誰かに理解してもらえる日が来ることを。

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