第8話 終業式
「おい、隼人。大丈夫だったか?」
1週間ぶりに学校へ行くと、教室に入った途端に永司が自分の席を立ち、俺の元へやってきた。
「あぁ、大事をとって入院しただけで、大したことなかったぞ」
そう言って、包帯でぐるぐる巻きの左手と中指がギブスで固められた右手を見せつけた。
「割と大怪我やないかい!!!」
鋭いツッコミが入った。
なぜか関西弁でのツッコミではあったが、その表情からは俺のことを心配しているということがひしひしと伝わってきた。
「大丈夫だよ。ちゃんとこうして右手は使えるし、もう今日で学校も終わるから」
「……まあ、刃物を持った男に襲われて、それだけならいい方か。はぁ、明日から休みでほんっとよかったな」
永司はゲガをしながらも元気そうにする俺に呆れたようにして肩をすくめた。
そう、入院明けで学校に来たはいいが今日は終業式の日。
つまり、明日からは春休みである。
春休み中には右手の骨も完治し、左手の包帯も外せるだろうとは言われている。
今日も一斉掃除と終業式、その後にロングホームルームがあるだけで、授業といえる授業がなく、学校生活に関してはあまり心配はしていなかった。
「とりあえず、席に戻ろうぜ」
「だな」
話もひと段落したところで俺たちは自分の席に戻った。
1週間ぶりに来て、ケガをしているということで、先程までは教室中から注目されていたが、自分の席についたことで視線もまばらになり、ようやくひと息つくことができた。
休んでいた分のプリントの整理がもう少しで終わるといったところで、担任の先生がやってきて、朝のホームルームが始まった。
そして、あっという間に学校は終わった。
1年生最後の帰りのホームルームも終わり、皆が騒いだりしている中、俺は誰よりも早く帰りの準備を済ませようと急いでいた。
(よし、今日こそは絶対に
急がないと
作戦としてはまず、神田橋さんに話しかけ、その後、ついでを装って桑園さんに話しかけてみる予定だ。
神田橋さんを利用してしまう感じがして申し訳ないが、あの後大丈夫だったか気になるのも事実なので、助けたお礼ということで許して欲しい。
(そういえばあの時のアイスどうなったんだろう。食べてくれたのかな)
そのことも聞きに行こうと思いながら急いでいると、教室の後ろの方が騒がしいことに気づいた。
すると、そこにはこれから話しかけに行く予定の桑園さんがいた。
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