第15話
は〜緊張するな、妹さんは一体どんな感じの子なんだろうな。10歳のちょっと騒がしい子だって英梨さんは言っていたけど、今回のお土産気に入ってくれるかな〜。
それに英梨さんがなんか先にごめんなさい、謝っておくねってメール来てたけどなにに対して謝っていたんだろ?とにかく行けば分かるか。
はぅ~もうすぐ敬斗さんが我が家に来ちゃうよ〜お部屋の掃除は大丈夫、香りもよし、身だしなみ問題な……し?んー気合い入りすぎかな?やっぱりもう少しシンプルな方が
「お姉ちゃん、あそこにブラ落ちてるよ」
「エッウソ?どこどこ?敬斗さんに見られちゃうよ」
「ウソだよ、お姉ちゃんちゃんと掃除したじゃん、もう少し落ち着きなよ。お姉ちゃんは会ったことあるだろうけど私はまだ会ったことないんだからさ」
「もうやめてよ、ちゃんと大人しくしていてよね。大切なお客様様なんだから。ゆいだってこの前プリン食べたんだからちゃんとお礼しなきゃダメなんだからね」
「わかってるよもう、あのプリン美味しかったしまた作ってくれないかなー」
「それは今日のゆい次第なんじゃないかな?ちゃんとしていたら敬斗さんは優しいからまた作ってくれるかもね」
「仕方ない、プリンの為に大人しくしてあげるか」
「あとね、そのね、もしかしたらなんだけど、やっぱりいいやごめん」
「もうお姉ちゃんなにが言いたいのは?ハッキリしないとダメだよ。最近のお姉ちゃん変だよ、なにかあるならちゃんと言ってね」(やっぱりお姉ちゃんなんか隠してるよね、女の勘がビンビンきてるよ)
ピンポーンと呼び出しのチャイムが鳴る
「わー来ちゃったよ、お願いだから大人しくしてね。それじゃ私出てくるから」
「いらっしゃい、早かったね。迷わないで来れたみたいで良かった」
「遅れたりしないで良かった。分かりやすい地図書いてくれてありがとう。今日はよろしくね、妹さんは中かな?」
「うん、中にいるよ。本当になんか迷惑かけちゃったらごめん、でも本当にいい子だから優しく見てあげて」
「もちろんだよ、英梨さんの妹だし優しい子なんだってわかってるから安心して」
「ありがとう、ここで話していてもあれだしごめんね、荷物あるのにさっ入ってはいって」
英梨さんに言われさっそく俺は中に入り奥に進むとすぐ妹さんに出会った。
「初めまして、英梨さんの友達の敬斗っていいます。今日は英梨さんと一緒に料理をしにきたんだけどよかったら妹さんもどうかな?」
「ゆいはお姉ちゃんより出来るからいい、お姉ちゃんに教えてあげて。それとこの前はプリンはありがとう」
多少素っ気ない感じの挨拶だったがちゃんとお礼を言える子だったので安心した。
「そうだ、今日はプリンじゃないんだけど、生クリームとか平気かな?」
「うん、生クリームは好きだけど、どうしたの?」
「ならよかった。今日はシュークリームを作ってきたから待っている間よかったら食べてみてよ」
「シュークリーム!!いいの?お姉ちゃんシュークリームだってほらほら」
「もう騒がないの、ほらっ食べたいなら皿用意してちゃんと分けなさい。敬斗さんもわざわざすいません、この前はプリンで今回はシュークリームなんて」
「気にしなくていいよ、好きで作っただけだし。妹さんも気に入ってくれたみたいでよかったよ」
(やばい、ヤバい、シュークリームでつい喜んじゃった。今日の私は、この男を見極めてお姉ちゃんを守らないといけないんだから)
「お姉ちゃん、せっかくだから私コーヒーとか淹れてくるよ。お兄さんはコーヒーで大丈夫ですか?」
「コーヒーなら私が入れてくるからゆいはシュークリーム食べてていいよ」
「いいの、いいの、二人は今日やる料理の復習しといて」
(ここで私がこの男を確かめてやるんだから、お姉ちゃんごめんね。でもいつもお姉ちゃんに守ってもらってばかりは嫌なんだ)
「さて妹さんがあーいってくれたことだし、今日の料理を復習していこうか。火を使う簡単な料理ってことで卵焼きなんかどうかな?」
「卵焼き、卵焼きか〜それなら朝でも夜でもおかずになるしいいかも」
「卵焼きは工夫次第で色々アレンジ出来るからがんばってみよう」
「うん、私頑張って美味しい卵焼き作ってみせるよ」
英梨さんがやる気出してくれてよかった。卵焼きなんて簡単だしとか言われたらどうしようかと内心ヒヤヒヤだったけど。
「お姉ちゃんコーヒー出来たよ、先にシュークリーム食べようよ」
「そっそうだね、せっかく敬斗さんが作ってくれたんだし先に食べちゃおうか」
「お待たせしました、熱いから気をつけて、きゃっ」
(ほら、この熱いコーヒーかかったらどんなに優しくても怒るでしょ?本性暴いてやるんだからってあれっヤバい、カップが勢い強すぎて私の方にこれじゃ私が)
バシャッガシャーンと音が響き英梨が驚いてその音のする方を見るとゆいをかばうように抱きかかえる敬斗さんがいた。
「だっ大丈夫?コーヒーかかってない?火傷とか大丈夫かな?」
「えっ熱くない、どうして?コーヒーがかかってきたはずじゃ?」
「よかった、無事みたいだね。英梨さんごめん、ちょっと汚れちゃったから洗面所をお借りしていいかな?それと割れたカップとか危険だから俺が、戻るまでは触らないようにしてほしいな」
「うっうん、分かった。洗面所はあっちだからゆい案内して。私は溢れたコーヒーだけでも拭くから」
「こっこっちです、汚れた服あったら洗いますね」
妹さんの案内と気遣いもあり上着を1枚脱ぐが、妹さんの前で脱いだのはいけなかった。
「おっお兄さん腕が真っ赤ですよ、はっ早く冷やさないと」
「あーそうだね、まっ慣れてるから大丈夫だよ」
「それって私を庇ったからですよね?熱々のコーヒーかかっちゃったから」
「料理やってると熱湯なんて当たり前でさ、この位ならあとで冷やせば大丈夫だよ。何よりあのコーヒーが妹さんにかからなくてよかった。せっかくのカワイイ顔や白い肌が真っ赤になったら大変だったよ」
「なっなんで怒らないの?ゆいのせいでこんな痛い怪我をしちゃったんだよ?普通なら怒るでしょ?」
「だって妹さんはお姉ちゃんを助けたくてコーヒー淹れに行ってくれたんだよね?お姉ちゃんの為に頑張ってる子を怒るなんて出来ないよ」
「…い……ゆ」
「ずるいよ、こんなんじゃお兄さんを疑ったゆいが悪い子じゃん、なんでそんなに優しくするの?怒られた方がマシなんてずるいよ」
理由が分からずたまらず妹さんに理由をきくとどうやらこういうことらしい。
最近お姉ちゃんの様子がおかしい、ぼーとしたりスープ飲みたいなとか呟いたりしまいには男の人に料理を教わるって言いだして、これは絶対に何かあると小さいながらも女の勘を働かせて今日料理を教えに来た俺が、お姉ちゃんをたぶらかす悪い人じゃないかと思ったらしい。
「なんだそんなことか、それならなおさら怒るつもりにはならないかな。だってお姉ちゃんを思って俺を警戒したんだろ?お姉ちゃんを守りたかったんだよね。なら怒るんじゃなくてここは褒めるべきだよ」
「お兄さん優しすぎだよ。疑う真似してごめんなさい。すぐ氷水とか用意するからそこで腕を冷やしてください。あと妹さんじゃなくてゆいって呼んでください」
きっかけはあれだったがどうやら妹さんいやゆいちゃんには認めて貰うことが出来たようだ。
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