第9話

 初めての出会いから1週間後、昨日の夜に拓真さんから連絡があり俺と英梨さんを含めた三人で会って話がしたいとの連絡があり早めがいいだろうと思い翌日学校が終わってから拓真さんがよく利用する喫茶店に行くことになった。


「急に予定決めちゃってごめんね、急ぎの方がいいかと思って」


「いえ、こちらこそわざわざありがとうございます。まさか本当に助けてもらえるなんて」


「ごめん、ありがとうはまだ早いかな、まだどうなったか分からないし、その今日会う人は信頼してるんだけどだからといって解決すると決まったわけじゃないから」


「いえそれでもありがとうと言わせてください。あなたは初対面の私にこんなに親身になって実際動いてくれました。同じ学校とは定時制ですし、連絡も取らないようにして逃げることも出来たと思います、それでもあなたは行動してくれた。だから、このありがとうは受け取ってください。恩返しもまだ何も出来ていないのに」


「それならありがたく受け取らせてもらうよ。それで出来るなら恩返しなら前みたいな悲しい顔じゃ無くて笑顔をたくさん見せてもらえたら嬉しいな。この前料理について褒めてくれた時の笑顔すごく好きだから」


「あっえっその……好きって」


「……?……あっいや好きって女の子としてじゃなく、いや嫌いではないんだから間違いではないけど、俺が言いたいのは」


「ふふっははっははははもう慌て過ぎですよ。大丈夫ちゃんと分かってますから。だけど気をつけないと勘違いさせちゃいますよ。今どきは料理出来る男子とかモテるんですから」


「はーびっくりした正直男女の付き合いとかしたことないからそのへん全くわからないんだよ」


「えっ今まで彼女とかいなかったんですか?嘘ですよね?絶対いましたよね?じゃないとあんな対応」


「本当にいないよ、ドキドキしながら対応してたんだから」


「そうなんだ、彼女いないんだ」


「いやー若いってやっぱいいな、見てる方は胸焼けしそうになるが、早くマスターのブラックを飲んで落ち着きたいもんだ」


 横からこちらをからかうように声がかけられる。

面倒だなと思いつつ相手の顔を見ると、その考えが一変する。その声の主こそ、今回二人で会いに来た人であり今回の事態の救い手になるかもしれない沖津拓真さんだった。


「拓真さん、人が悪いですよ。そんな風に声をかけられたら警戒しちゃいますから」


「悪いな、つい2人を見ていたら耐えられなくなってしまってな」


 耐えられなくなるって一体どこから見ていたんだ?


「敬斗お前の考えはその顔見たらすぐ分かるぞ?一体どこから見られていたんだ?とか考えていただろ、ちなみに俺が見ていたのは笑顔すごく」


「拓真さん!!大変ものすごーくわかったんで早く中に入ってマスターにコーヒー入れてもらいましょう」


「そうだな、苦いコーヒーでこの甘ったるさを抜かなきゃな」


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