第17話:ケチャップが?王女様だって?。
「この家で間違いないんですね?・・・ミルフィーユ」
「はい間違いございません、ザッハトルテ様」
「雑誌社の谷川?・・・さんって方がそうおっしゃってましたから・・・」
朝、俺はいい気持ちでケチャップと一緒に目覚めた・・・こんなに清々しく
目覚めたのは大人になってはじめてだった。
「おはようケチャップ・・・」
「おはよう・・・ケイスケ・・・」
「よく眠れたよ、俺」
「ケイスケ昨日はごめんね・・・」
「謝らなくていいよ・・・そんなこと言ったら俺だって・・・」
「ねえ・・・モーニングチューして?」
「いいよ」
俺はケチャップに目覚めのキスをした。
「また、したい・・・」
「え?したいって?、ちょちょ・・・朝からやるのかエッチ?また俺の血を
吸うのか?」
「夕べあれだけ燃えたのに・・・ものたりないってか?」
「ものたりない・・・」
「もう血を吸わせてって言わないから・・・可愛がってくれるだけでいいから・・・ね ・・・お願い・・・」
「しょうがないな・・・」
まあいいか・・・もう会社に行くこともないし朝食は後でもいいし・・・
そう思って俺はケチャップを引き寄せた。
そしたら・・・ピンポーン、ピンポーンって玄関のチャイムが鳴った。
「おいおい?・・・誰だよ?こんなに朝早くに・・・」
「これからって時に・・・」
「まさか親父たちが帰って来たってわけじゃないよな・・・」
「ってか、親父たちならチャイムなんか鳴らさず鍵開けて入ってくるよな・・・」
「誰だよ・・・」
するとまた玄関のチャイムが鳴った。
「え〜い・・・・分かった・・・降りてくよ・・・」
「ケチャップはそのまま寝てていいよ」
「え?行っちゃうの?」
「誰か出ないとチャイム鳴り続けるだろ・・・」
「どうせ宅配かなんかだろうから荷物受け取ったらすぐ上がってくるから」
「待てない〜」
「数分くらい待てないか?」
そう言って俺はすぐに服を着て二階から降りて玄関へ向かった。
そしたらまた、しつこくチャイムが鳴った。
「はいはい・・・ちょっと待てよ、今出るから」
玄関を開けると、痩せぎすで偉そうな口髭を生やしたおっさんと、
その後ろに、おっさんよりかなり若めのお兄ちゃんが立っていた。
「おはようございます」
「はあ、おはようございます・・・」
「あの・・・、どちら様で?」
「私、ザッハトルテ・アプリコットと申します」
「はあ・・・」
「つかぬ事をお聞きいたしますが・・・」
「こちらにケチャップ様がお邪魔しておられると思いますが・・・」
「え?・・・あんたら、ケチャップとどんな関係?」
「私ども・・・あ、私の後ろに控えておるのは執事のミルフィーユです」
「どうも・・・ミルフィーユです」
「はあ・・・どうも・・・」
「え〜とですな、私は我がスライモ王国の元老院の一人でして、このたび我が王、
マーガリン陛下のご命令にて地球へ来ておられるケチャップ様のご様子を見て
くるようにと仰せつかり私、直々に様子を見にまかり越した次第です・・・」
「こちらで何か支障があればケチャップ様を連れ帰るようにとのご命令も
受けております」
「げ、元老院?・・・なに、なに?」
「あ、申し遅れましたがケチャップ様は、我がスライも王国の王女様であらせ
られます・・・」
「王女だって?・・・ケチャップが?」
「ケチャップとな・・・ケチャップ様のことを呼び捨てとは、けしからん」
「いや〜、ちょっと世界観が違いすぎるんだけど・・・」
「なに?・・・ケチャップが王女?・・・そのザッハトルテさん?」
「ケチャップ様と呼びなさい・・・愚か者」
「ケチャップが王女って?・・・あんたら、おかしんじゃないのか?」
「呼び捨てはやめなさいと言ってるんです、分からない人ですね・・・あなたは」
「そんなことより姫様は、この家にお邪魔なさっておられるのですか?」
「ああ・・・なさっておられますけど・・・」
「おおそれはよかった、姫様に粗相などございませんでしたか?」
「粗相・・・粗相はしてないけど・・・なんつうか・・・」
(エッチやっちゃったし・・・あれも粗相って言うのか?)
「では私どももお邪魔させていただきましょう、ミルフィーユ」
「はい、ザッハトルテ様・・・」
「え?入ってくるわけ?」
「元気でいる姫様のお顔を拝見しませんと・・・」
「お邪魔しますよ・・・え〜とどなたでしたか?」
「あ、俺・・・俺は
「ケイスケ殿・・・以後お見知り置きを・・・」
そう言うと、おっさんと若いのは、ずけずけと俺の家の中に上がり込んできた。
つづく。
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