第12話

新学期テストの結果が貼り出された。

学年1位は福田将希である。

文武両道に優れていて、おまけにイケメンで優しいため、女子の人気も相当に高い。男らしい性格なので友達も多かった。

そして2位が有羽である。

この成績を見て、今まで馬鹿にしていた女子達も口を噤んだ。

「凄いじゃん!有羽!」

加藤咲絵が肩を叩く。

"ありがとう"

有羽が手話で返した。

「えっ?なんだっけ?」

「ありがとうって言ったんだよ。いい加減に覚えろよ」

後ろから将希が声を掛けて来た。

"凄いじゃん"

"ありがとう。福田君も。陸上もインターハイ決勝まで行ったんでしょ?凄いね"

「あーズルい!有羽と福田君、また手話で会話してる!」

咲絵がそう言ってブーたれている。

「そう思うなら頑張って挨拶ぐらい覚えろよ」

「はーい」

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