第1章 夢を目指して
第8話
時は1ヶ月前に遡る……
休み時間の騒ついた教室の中で、一人ポツンと席に着いていた小池有羽に1人の女の子が話しかけて来た。
「ねえ、転校生?2年の時、いなかったよね」
有羽は電子メモに書いた。
"3年からこっちに引っ越して来たの"
「えっ?」
「その子、耳が聞こえないんだって」
別のクラスメイトの女子が腫物でも見るような目で言った。
「あ、ごめんね…… 」
その子は逃げるように他のクラスメイトの所へ行った。
有羽は俯くとメモの文字を消した。
有羽が耳が聞こえない事を言いふらす女子生徒の影響か、誰も有羽に話しかける者はいなかった。
有羽は生まれた時から耳が聞こえない。
だから全く音を知らなかった。
有羽は幼稚園から高校2年まで横浜の聾学校に通っていた。
その聾学校では口話にかなり力を入れていた。
大分に引っ越す時に大学に入れば健常者の中に混じる事になるのだから、経験を積んでおくようにと父の勧めもあり、日向高校に編入したのである。
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