第6話
「やっぱり大分の人じゃないんだね。何処にいたの?」
だが有羽から反応が返って来ない。
少し早かったようだ。
璃生はメモに書いた。
"横浜よ。父の転勤で大分に来たの"
そして水族館に入った。
有羽はすっかり魅せられていた。
璃生は魚達を半分、有羽を半分見ていた。
イルカのショーでは大いに盛り上がった。
「楽しかった?」
"とても"
「好きな事は何?」
"朝、家の近くをジョギングする事"
「走るの好き?」
有羽は首を傾げる。
璃生はメモに書いた。
"好きよ。ダイエットにもなるし"
「趣味は何?」
"編み物"
「え?そうなの?俺もだよ」
意外な言葉に有羽は目を丸くしている。
"そうなんだ。どんな物を編むの?"
"膝掛けとか"
璃生はメモに書いた。
「小池さんは?」
"帽子とかかな"
「他には何が好き?」
"小説を書く事"
「色んな趣味を持っているんだね」
"小説を書くのは趣味で終わらせたくないの"
「小説家になりたいんだ」
璃生がそう言うと、有羽は笑って頷いた。
筆談だけではなくて、身振り手振り、全部使った。
璃生は夢中だった。
"竹内君の趣味は何?"
「ギターを弾く事なんだ」
咄嗟にそう言って璃生は口を塞いだ。
そんな璃生の仕草を見て、有羽は微笑んだ
"ギターってどんな音がするの?"
「優しく包まれるような音だよ」
"きっと素敵な音なんだね"
「小池さん、俺と、付き合って欲しいんだ」
璃生はゆっくりと口を開いた。
やっぱ、ダメかなー。
全部筆談だし、
身振り手振りで酷かったし……
だが有羽はゆっくりと頷いた。
「本当に⁈」
"竹内君となら、きっと楽しいと思う"
「やったー!」
璃生は思わずガッツポーズをした。
それを見て有羽は笑い出した。
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