第5話
日曜日がやって来た。
璃生はドキドキしながら映画館の前にやって来た。
早く着き過ぎてしまった。
約束は10時。
今は9時30分である。
所がもう既に有羽は来ていた。
優しい薄いピンクのワンピースに白いカーディガン。髪はポニーテールにしている。
遠くから見ても目茶目茶可愛い。
だが、そんな有羽を他の男が放って置くはずもなく、声を掛けられた。
「ねえ、彼女。彼氏来ないねー。俺と遊びに行かない?」
だが有羽からは反応がない。
「あれ?無視?ねえ、彼女ー」
有羽は気付いて手話を始めた。
「マジ?ヤベー!」
男は、妙な物でも見るような目で有羽を見ている。
「迷惑なんだ。トットと失せろ」
璃生が睨み付けると、男はそのまま行ってしまった。
「お待たせ」
璃生を見ると有羽はホッと息を吐き出した。
「まずは水族館に行こう。水族館好き?」
普通にそう言った後でしまったと思った。
彼女、耳が聞こえないんだ。
所が有羽はスマホを出してメモ機能を出した。
そして璃生に見せる。
"水族館、大好きです"
"えっ?耳が聞こえないのにどうして俺の言う事が分かったの?"
"唇が読めるから。ゆっくり話してくれたら大丈夫"
どんどんメモが進んで行く。
"そうなんだ"
水族館に向かう電車の中でも4人掛けの向かいに座り、璃生は話して、有羽はメモに書いた。
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