第4話

どうしても逢わずにいられなかった。

いや、そんな事を考える前に璃生は日向高校に向かっていた。

校門の前にいた女の子に声を掛けた所で、本人が歩いて来た。

「小池さん!」

有羽は璃生に気付いたのか、驚いた目で璃生を見た。

慌てて鞄からメモを取り出す。

「話があるんだ」

璃生はメモに同じ事を書いた。

"俺と付き合って欲しいんだ"

璃生がこの言葉を書くと、有羽が怪訝な表情になった。

"揶揄ってるんですか?"

"そうじゃない。君に一目惚れしたんだ。一度デートしてくれないか?そうしたら分かるよ"

有羽はメモを読むと璃生を見る。

真剣で真っ直ぐな瞳がそこにあった。

"分かりました。一度なら…… "

"ありがとう。じゃあ日曜日の朝10時に映画館の前で"

"はい"

"ありがとう!じゃあ、俺、学校に戻るから!"

璃生は手を上げると、走って行ってしまった。


「遅れてすみませんでした」

「汗かいているじゃないか。大丈夫か?」

「日向高校の近くまで走って来ました」

「そうか。たまには自主練もいい」

監督はそう言って璃生の肩を叩いた。

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