第2話
翌日の放課後、璃生はグランドでLSDの90分ジョグをやっていた。
璃生は陸上部の長距離選手である。
「竹内君、お客さんだよ」
1人の女子生徒に言われて、璃生はグランドの入り口までやって来た。
「竹内璃生ですが…… 」
そこに立っていたのは昨日駅で会った女の子だった。
「君は昨日の……!どうして此処が?」
女の子はおずおずと学生証を差し出した。
「ありがとう!助かったよ!」
失くしたから再発行してもらわないといけないと思っていた。
再発行の手続きは色々とややこしい。
璃生は昨日のボードを持って色んな人に訊いていた彼女の姿を思い出した。
此処まで来るのはきっと大変だっただろうな
……
「此処まで来るの大変だっただろ?すぐ来るからちょっと待っててね」
璃生はそう言うと顧問に言った。
「学生証を届けてくれたんですけど、耳が不自由なんです。送るので帰っていいですか?」
「仕方ないな。明日の練習は倍だぞ」
「はい、ありがとうございます」
璃生はいそいそと着替えると、女の子の所に早足でやって来た。
そしてメモを渡した。
そこには"ありがとう。家何処?送るよ"と書いてあったのである。
それを見て女の子が笑顔を見せた。
可愛い……!
柔らかな春の日に咲くたんぽぽの花のようだ。
璃生はそこまで来てやっとまだ名前を聞いていない事に気がついた。
南条高校からバス停に向かって歩く。
「あのさ、名前なんて言うの?」
女の子はメモを取り出した。
"名前は?"
"小池有羽、日向高校3年"
メモに書いて有羽は璃生に見せた。
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