第15話
「ねえ、菜奈。合コン行かない?彼氏も作らなくてバイト三昧って詰まらなくない?」
大学の友人が声を掛けて来た。
「私はバイトが楽しいから」
「ねえー。菜奈、一回だけでいいから。メンバー足りないの!」
友人が菜奈に頼み込む。
「何人で行くの?」
「5対5」
合コン……
そう言えばリスナーさんのハガキにもそう言うのがあったっけ……
「分かった。絢香。一回だけよ」
「私達湊大学1回生です」
みんな気合い入っているなあ……
絢香も髪をカールして、メイクもバッチリ、仄かに香るフローラルの香りが女らしい。他の子達も一緒だ。
一方の男子はお互いに囁き合っている。
「お前、どの子?」
「どれも50点前後……ああ右2可愛い」
菜奈の事である。
女の子から一人一人自己紹介をして行った。
名前、趣味、後は好きな事とかアピール点を言う。
菜奈の出番が来た。
「樋口菜奈です。宜しくお願いします」
菜奈はそれ以上は言わなかった。
フリータイムになって明らかに女の子の目が変わった。
「藤崎さんは好みの女の子ってどんな感じなんですか?」
どうやら藤崎という人に目を付けたみたいだ。
「僕はね。一緒にパズルやってくれる子かな」
他の男子が答えても興味が無いのか知らん顔をしている。
「どんなパズルが好きなんですか?」
菜奈が口を開いた。
「ちょっと菜奈、そいつ20点男じゃない」
友人が菜奈の耳元で囁く。
「ジグソーパズルなんだ」
「当たり前じゃん」
他の男子が呆れたように言った。
「樋口さん、そんな話よりさあ」
「他のパズルもあるんですか?」
「ペンシルパズルとか…… 」
「それはどんなパズルなんですか?」
男子達はお目当ての女子を取られてしまって詰まらなそうである。
「ペンシルパズルって言うのは…… 」
菜奈はその男子、山村の話を聞いた。
そして帰りに菜奈は山村から訊かれた。
「樋口さんは誰か付き合っている人はいるの?もしいないなら俺と…… 」
「ごめんなさい。私、好きな人がいるの。思わせぶりな事してゴメンね」
「樋口さん、今度店に行くからね」
他の男子達は菜奈に連絡先のメモを渡した。
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