第2話

「ねえねえ、昨日のヒットパラダイス見た?murasakiの江藤啓哉って超カッコ良くない?」

「見たー!あの甘いマスクと優しい声で"愛してる……"なんて歌ってさ。私テレビ見て卒倒しそうになったー」

南高校の教室では昼休みに女の子達が集まってアイドルの話で盛り上がっていた。

「また愛梨に頼んでサイン貰おうよ」

愛梨こと馬場愛梨。

この物語の主人公だ。

10歳の時にサンライズミュージックのオーディションで8500名の頂点に立ち、テレビの歌番組に出演した所その可愛さと歌の上手さで問い合わせが殺到して、12歳で芸能界デビューを果たしていた。

デビューして3年になるが、その人気は衰える事はなかった。

愛梨は此処にはいない。

今はティーン雑誌の撮影中だ。


愛梨はお気に入りのブランドのピンクのミニワンピを可愛く着こなしていた。

「笑顔でねー。可愛いよ。愛梨ちゃんもうちょっと笑ってみようか」

カメラマンに言われて愛梨は笑顔を見せた。

「いいねー。そのままで」

カメラマンが愛梨を撮りまくっている。

カメラ目線も可愛くポーズを取るのももう慣れていた。

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