第8話

6月15日は紗来の誕生日である。

「紗来、誕生日おめでとう」

真樹が青い紙袋を紗来に渡した。

「ありがとう!開けてもいい?」

紗来が言うと真樹は笑顔で頷く。

早速紗来は紙袋を開けた。

中に入っていたのは白いロゴのデザインの半袖Tシャツだった。

「わあ!可愛い!ありがとう。早速練習に着て行くね」

「可愛いじゃない」

沢渡美羽もそう言って笑顔を見せた。

美羽は同じ事務所の先輩で、紗来より一つ年上である。

2人は一緒に暮らしていた。

「じゃあ、冷めるから食べて」

テーブルの上にはパエリア、ポトフ、鶏肉のソテー、マカロニサラダが並んでいた。

「これ、みんな美羽ちゃんが作ったの?」

真樹は驚いている。

「そうよ。大河君も来れると良かったのにね」

美羽が取り皿を並べながら言った。

「ドラマの撮影だから仕方ないよ」

紗来は言った。

そんな紗来を真樹はジッと見ている。

「じゃあ、食べよう。頂きます!」


食事の後には大好きな苺のタルトが用意してあった。

「うわぁ!ありがとう!」

「大河から。来れなくてゴメンって」

真樹が言った。

「嬉しい!私、これが大好物なの」

紗来は満面の笑顔を見せていた。

こうして16歳の誕生日は過ぎて行った。

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