第10話

「いやあ!しかし参ったなあ、もう」

マネージャーの小林はハンドルを握りながら笑っていた。

「相手は15歳の女の子だし、みんな冗談だと思うだろう。しかしこれであの子は名前を売ったよな」

小林の言葉を聞きながら千早は窓の外に流れる景色を見ていた。


「やっぱり優衣は何処か違う!向井千早にプロポーズするなんて」

翌日、学校に行った途端に優衣はクラスメートに囲まれていた。

「言わないでよ…… 」

優衣は机にうつ伏せてしまった。

「ねえ、恋も知らないのにプロポーズの意味は知ってたの?」

クラスメートの女子がそう言って優衣を揶揄った。

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