第8話

「だって優衣ってまだ頭にオムツつけてるようなものじゃない。恋を知らないんだから」

由希奈がそう言った。

「失礼ね。私、向井千早の大ファンなんだ

から」

優衣はそう言って膨れた。

「弟と一緒にメカ戦士見てはしゃいでいるなんてまだまだ子供よ。優衣は」

「歌が上手いだけじゃなく、恋も知らないとねー」

友達に代わる代わる言われて、優衣は剥れていた。


部屋の箪笥の上にズラリと並ぶのはこれまで全国の歌自慢大会に出場して優勝したトロフィーの数々だ。

その向かいの壁に貼ってあるのが向井千早の巨大ポスターだ。

「やっぱりまだ子供なのかな…… 」

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