第70話 ラビと出会った記念日ちょっと前だよ配信2

「それでは先ず、使う道具から紹介していきますね。特別な道具は一切要りません。粉を混ぜるために使うボールに……」


 俺はどんどん道具をテーブルの上に乗せていく。本当に今回のパン作りには、基本的な道具しか必要がないからな。すぐに紹介は終わったよ。


 そして次に紹介するのは材料だ。こちらもパンの材料は、普通のパンと変わらないため、ささっと説明をし。他の食材については少し詳しく説明することに。


「ここで用意するのは、家族の魔獣が好きなお肉です。今回は3つ、ラビの好きなお肉を用意しました。ツノうさぎのひき肉と、ミートフロッグのひき肉。それからアンガータートルのひき肉です」


 ツノうさぎは言葉の名前の通り、ツノの生えている、攻撃的なうさぎって感じの魔獣だ。ラビと似ている魔獣ではあるが、その辺本人は気にせずに、見つければ必ず仕留めて、夕飯に持ち帰るくらいに好物だ。


 そしてミートフロッグは、見た目はガマガエルで、お大きさは1、5倍くらい大きく。昔の人はよく分かっていない魔獣を、よく食べられたと思うけど。そのお肉がとても美味しかったということで、ミートフロッグという名前が付いた。


 アンガータートルは、いつもイライラしていて、少しでも誰かが自分の周りに近づこうものなら、怒ってすぐに攻撃をしてくる、面倒なノコギリガメのような魔獣だ。

 しかしこれだけ動いているから、筋肉質のお肉だと思いきや、コラーゲンがたっぷりの、プルプルした食感のお肉で。こちらは鍋とかによく使われる。


“全部ひき肉?”

“薄切りとか使わんの?”

“アンガータートル美味しいんだよね”

“戦うのは大変だけどな”

“俺前に腕を切られて大変だったよ”


「質問にありましたが、お肉は薄切りでも何でも構いません。ただ俺の所は、ラビ達が一緒にやりたいって、絶対に言ってくるので、かき混ぜやすいひき肉にしてあります」


“今もあの格好で待ってるもんなw”

“準備万端、エプロンまで付けてるのに顔がwww”

“www”

“よっぽど気に入ったんだなw”

“鏡見てうんうん頷いてたしw”

“ポーズもとってたもんなw”

“可愛いからよしw”

“かわ面白いなw”


 ラビ達は今、俺の隣でパン作りを手伝おうと待機中だ。あの間違えたままの髭に眉毛を付けたままで。

 

 ラビとププちゃんとクーちゃんには、付け方を間違ってるって言ったんだけど。鏡を見て、どうにも間違った付け方を気に入っちゃったらしく。そのままの格好で今日は過ごすと言い出し、顔はそのままにエプロンを付けた。


 そしてブーちゃん。ブーちゃん、今日は料理配信と言うことで、寝ずにいるんだけど。ブーちゃんもメガネ鼻髭を、ラビ達よりも気に入ったらしくて。

 視聴者さんには、鏡の前で、ただ立っているように見えたかもしれないが。いつもよりもキリッとした姿で、鏡の前に立っていた。


 キリッとしているのに、付けているのはパーティーメガネだぞ? 思わず吹き出しそうになったのを、我慢するのが大変だった。本人は気に入っているのに笑うのはダメだからな。

 

 ただどうしてもカメラに抑えておきたくて、視聴者さんにことわって、写真を撮らせてもらったよ。そうしたらこの写真もプレゼントにして欲しいって言われて。 

 今回はすでに用意してあるから、いつかまた何かゲームをした時に、プレゼントにする可能性があるとは言っておいた。


「そして最後に。今回1番必要な道具です。家によってはオーブンがなく、パンが焼けないという方もいると思うので。今回はフライパンでパンを焼こうと思います」


“そういえば、フライパンでパン生活みたいなの、テレビでやってたな”

“雑誌にも時々載ってるよな”


「フライパンは、今回俺達が作ろうとしている物でしたら、3種類のフライパンを用意していただけたらと。大中小の3種類で、すべてちょっと深めのタイプの物を用意してください」


“3種類?”

“そんなに使うんだ”

“まぁ、お肉が3種類なんだから、3種類必要か”

“でも大きさが違うのは?”


「大きさが違う事については、もう少し後で説明しますね。そして最後は、この長めの串焼き用の鉄の棒です。これも今回俺達が作ろうとしている物に必要なので、作る時は忘れずに用意してください」


『きゅい!!』


『いっくぞぉ!!』


『ぷぷぷ~!!』


「って、説明してる時に今度は何してる!! 棒を置きなさい!!」


 BBQでよく使うから、俺の家には鉄の棒のセットが置いてあるんだけど。それをラビとクーちゃんが持ち出して、剣の決闘みたいな事を始めたんだよ。いくぞ!! お兄ちゃん達頑張れってさ。


『きゅいぃぃぃ!!』


『ぼくたち、かっこいいとおなじ!!』


『ぷぷぷ~』


 僕達髭も同じ!! 僕はもう少し長い剣が良いなぁと。


「ほら、後でおもちゃの剣を作るか買ってやるから、それは返せ」


 さっさと鉄の棒を回収する俺、ブーブー文句を言うラビ達。昨日ラビと父さんが、いつもの映画鑑賞をしていたんだけど。


 騎士が出てくる映画でさ。ププちゃんとクーちゃんもそれを見て、騎士が気に入っちゃって。映画が終わった後は、カッコいいカッコいいって、広告用紙を丸めて剣にし、騎士の真似をしたラビ達。


 それが今日になって、BBQの串焼き用の棒を見て、これはちょうど良い、と思ったんだろう。まったく、ちょっと目を離せば、何かやり始めるんだから。まだこれからパンを焼くっていうのに。


 そしてそんな俺達が騒いでいる中、ブーちゃんといえば。パーティーメガネをかけたまま、今うちの中でラビ達が1番お気に入りの、あの高級クッションに寄りかかるように座り、いつでも出来上がりのパンをどうぞ!! って感じでスタンばっていた。




     *・゜゚・*:.。..。.:*・'.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*

【あとがき】

お読みいただきありがとうございます。


切実に、切実に、★評価していただけると助かります。

泣いて踊って喜びます。


是非下にある★★★評価とレビュー、フォローをよろしくお願いいたします。


ブーちゃん『にょお、にゅにょおぉぉぉ!!(★お願いな!!)』


ラビ『きゅいぃぃぃ!! きゅいっ!(タクパパのクッキー返せー!! とおぅっ!)』


ププちゃん『ぷぷ ぷっぷ~! ぷぷぷ~!!(タクパパのくっちーのために、★をおねがいちます! ラビおにいちゃんのトルネードパンチ!!)』


クーちゃん『★よろしくおねがいします!! もぎゅもぎゅ。あっ! くっきーおちた。あっ!! トルネードパンチのこうげきで、ふくろがとんだ!!』


ププちゃん『ぷぷぷぷぷ!! ぷぷぷぷぷ!!(クーおにいちゃん! 食べちゃダメだよ。ふくろをとってぇ!!)』


ラビ『きゅい! きゅいっ!!(よし!! 袋をGET!! あっ! 待てー!!)』


ププちゃん『ぷ!ぷぷぷ!! ぷぷぷぷ~!!(あ! べつのおかしのふくろ!! みなしゃん! ★でタクパパのべつのおかちをまもってくだしゃい!!)』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る