第54話 素敵な手型足型入りプレゼントを作ろう!!
「ほら並べ。ブーちゃん、2枚だけ撮ったら、その後は自由にいていて良いから。今は起きててくれ」
「タク、カメラの方は準備できたぞ。いつでも撮れる。部屋の中と外とどっちもだろ?」
「ああ。これ見てくれ。昨日急いで作ったんだ」
「へぇ、良いじゃないか。みんな洞窟タイプのダンジョンで出会ったからな、洞窟をバックに俺達のチャンネル名を入れてあるのか」
昨日プレゼントの相談をした俺達は今日、早速プレゼントの作成に取りかかった。作る物はステッカーが1枚に、ポストカードが5枚で。計6枚をセットでプレゼントする。
写真さえ撮ってしまえば、後はステッカーとポストカードに印刷するだけだからな。いくら枚数が増えようが問題はない。
が、そう。問題は写真とその後の作業だ。写真を撮れないと何もできないし。ステッカーとポストカードを作った後には、さらに大変だろう作業が待っている。だからなるべく早く、写真を撮りたいんだけど。
ステッカーの方は昨日、フリーの素材から洞窟タイプのダンジョンの写真を持ってきて。それに俺達のチャンネル名を入れ、写真を撮るときの背景を作った。
ラビ達全員、洞窟タイプのダンジョンで出会ったからな。それが良いと思ったんだよ。1枚だけ作るって事で、4匹全員が写っているステッカーにする。
それからポストカードの方だけど。1枚は外で、ステッカーみたいに4匹揃った状態で撮影する。こう配信をしている時の状況を再現して撮るつもりだ。
他の4枚に関しては、それぞれ1匹ずつのポストカードを作る予定で。みんなに自由に動いてもらっている時に何枚か写真を撮って、その中から良い物を採用する予定だ。外でも部屋でもどちらでも良いから、よく撮れた方を使う。
「ほら、すぐに終わるから並んでくれ。よし、そうだ。晴翔! 今だ!!」
晴翔が急いで、連写で写真を撮る。あんまりじっとさせるのは可哀想だからな。すぐに晴翔と写真を確認。
写真全体のブレもないし、みんなの姿も、毛で目が隠れているとか、横を向いちゃっている、なんて事はなく良く写っているから、これで良いだろうと。後でゆっくり写真を選ぶ事にして、部屋の全体写真は終わりにする。……ポーズと表情が何とも言えなかったけど。
ブーちゃんがお座りをしてくれてさ。だけど後ろに転がりそうになって、ラビ達がブーちゃんを押さえているって写真で。ラビとププちゃんは踏ん張りながら、しょうがないなという表情で、クーちゃんはブーちゃんの耳を持って、満面の笑みで写っていて。
ブーちゃんは、写真と分かっていて笑ってくれたんだけど。その笑い顔がニヤつき顔になっていて。可愛いというか何というか……。
「まぁ、これもいつものラビ達って感じで良いだろう。モデルでも何でもないんだから、視聴者さんはこういう感じの写真の方が気にいると思うぞ」
「ま、そうだな。よし、じゃあ次は外へ行く」
外にはいつもの撮影機材とテーブルを置いて置いて、全体的な撮影雰囲気を背景にできたらって事で。晴翔が台に乗り、ちょっと上から全体を撮影する事に。こんな感じで撮影してますよって感じだな。
ラビ達にはいつもお手伝いしてもらっている時のように、お皿とかお盆とか、後は素材なんかを持ってもらい、そのまま少し上を向いてもらい、晴翔の方を見てもらった。うん、こういう時、言葉が通じるって素晴らしいよな。
みんなが俺の言った通りに晴翔の方を向いてくれて、すかさず晴翔が連写。すぐに写真を確認して問題なかったため、全員が映る写真撮影はすぐに終えることができた。2枚目はみんなの表情が、もっと何とも言えなくなっていたけど……。
さっきのブーちゃんのニヤリ顔、あれをもっとニヤリ顔にした感じか? こう口を大きくニィ~っとして、目もできる限り細めにして。まるでハロウィンの細めでニヤリ顔の、かぼちゃの顔みたいだった。
それが全員なんだよ。何でみんなそんな顔にしたのか。まぁ、本人達がそれが良いなら良いんだけど。これを貰った視聴者さんはどう思うだろう? ラビ達らしいって思ってくれるか、大爆笑するか。
こうして全体写真を撮り終わった俺達。その後の個々の撮影も、すぐに終わらせる事ができて。
ラビは蹴りの練習をしている姿を。ププちゃんは噴水みたいな水魔法を使っている姿を。ブーちゃんはあの新しいクッションで、仰向けで寝ている姿を。そしてクーちゃんは、自分のぬいぐるみで遊んでいる姿をと。こっちはみんな可愛く撮影する事ができた。
そうして俺達はすぐに、ステッカーとポストカードに印刷をして。ここまでを午前中に終わらせる事に成功。
さぁ、問題はここからだ。俺と晴翔は配信部屋を綺麗に片付けた後、床全体が隠れるように大きな紙を何枚か敷き。後はたくさんの絵の具を用意した。それを見て喜ぶラビ達。
「さぁ、これから楽しいことをするぞ。だけど最初はみんなにあげる物を作るから、自由に遊ぶのは、その物を作ってからにしてくれ。いいか、俺が最初にやってみるからな」
俺は自分の手のひらに絵の具を塗った後、最初に印刷に失敗したポストカードに手を押し付けた。それを興味津々で見てくるラビ達。そうして俺が手を離せば、ポストカードには俺の手型が綺麗について。まぁ、もちろんはみ出したけどさ。
「どうだ? これからみんなには、このステッカーとポストカードに、今の俺みたいに手型や足型、好きな方を付けて欲しいんだ。ラビ、最初に代表でやってみよう」
ラビを呼んで、好きな色の絵の具を選んでもらい、足が良いというので足に絵の具を塗ると、ステッカーの下の方にペタッと足を付けてもらう。そうして足を離せば、しっかりとステッカーにラビの足型がついた。
そう、俺が考えたプレゼントは、ただのステッカーやポストカードをあげるんじゃなくて。芸能人じゃないけどラビ達の手型足型を付けた、特別なステッカーとポストカードをプレゼントする、というものだった。
全員が写っている物には全員の手型足型を。個々の物には個々で手型足型を付けてもらう。ラビ達の小さな手型足型だから、はみ出たり写真が全部隠れたりする問題もないし。全員のは大きめのステッカーとポスとカードを用意したから問題ない。
ステッカーに集まるラビ達。そしてすぐにニコニコになって、それぞれ好きな色の絵の具を付け始めた。
と、ここからが大変だった。本当は順番にやらせようと思っていたんだけど。みんながやりたいやりたいで。もう自分の足型を付けたポストカードに、また付けようとしたり、他の手型の上に付けちゃったり。
勢いがつき過ぎて手型がそのままズレ、一面が絵の具だらけになったり、絵の具がつき過ぎて紙がシワシワになったりってな。
「いやぁ、200枚セットで買って置いて良かったな」
「ああ、失敗しても何度でもやり直せる。それに余ったら余ったで、次回何かに使えるからな。ラビ達も楽しそうだし良かったよ。……部屋の中は後で大掃除しないといけないけどな」
「あー、まぁ、それはな」
テンションが上がったラビ達。部屋は片付けて、床全体に紙を敷いたけど。壁やら机やらが手型足型だらけに。まさかの天井にまで付いていた。クーちゃんやラビがジャンプしたっていうなら分かるんだけど。そこまでいけないププちゃんは、どうやって付けたのか。
そして気づけば時間は夕方になっていた。でも、そんなドタバタプレゼント作りだったけど、なんだかんだ最終的には、全てのステッカーとポストカードを作る事に成功した。ブーちゃん以外は……。
みんながワイワイ騒ぎながら、プレゼントプレゼントを作っている最中、1度も起きてこなかったブーちゃん。俺が絵の具を見せ、押してくれと言えば。横目で絵の具を見て、焦茶と青と黄色を選ぶび、ご自由にどうぞと、俺に足を出してきて。
仕方なく俺がブーちゃんの足に絵の具を塗り、それぞれにブーちゃんの足型を押す事に。まぁ、良いんだけどさ。
ブーちゃんも終わらせて、ピンチハンガーにステッカーとポストカードを付けて、ベランダに干したら、後はしっかりと乾くのを待つだけだ。
そしてステッカーとポストカード作りを終えた俺達と言えば……。海水パンツを履いて、体全体を絵の具で汚したラビ達を洗う事に。
そういえばシャンプー配信をしてくれって言われてたよな、と思いながら。手だけ綺麗にすれば良いだけのブーちゃんまで入ってきて、ラビ達もテンションが下がらずに、そこでまた人騒動あり。
でもまぁ、何だかんだとプレゼントも全て作り終える事ができて良かった。視聴者さん参加型配信、続報配信する事になっていたからさ。
こうして全てを終わらせた俺達は。みんなだってさ、何かやらないといけない事があって、それの準備が終われば安心するし、その日はぐっすり眠れるだろう?
と、いう事で、その日の夜は俺も、泊まった晴翔も、みんなぐっすり眠りに着くことができた。
……と思うだろう? だけどこの夜、俺と晴翔が知らないところで、まだプレゼントの用意は続いてたんだ。
*・゜゚・*:.。..。.:*・'.。. .。.:*・゜゚・**・゜゚・*:.。..。.:*・'*:.。. .。.:*・゜゚・*
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