第11話 ラビのこだわりと凄技の畑配信2
最初は自分の前の肥料を混ぜていたラビ。ところが途中からププちゃんの方を気にし出して、数分じっとププちゃんの肥料混ぜを見た後、ラビはププちゃんの所へ。
『きゅい! きゅきゅ』
『ぷぷぷ? ぷぷ~?』
『きゅいっ!!』
ある部分を指したラビ。それから簡単に肥料を混ぜるとすぐに止め。そしてラビの様子を見ていたププちゃんがすぐに、ラビの真似をして肥料を混ぜると、再びラビの方を見る。
『ぷぷ~?』
『きゅい!!』
ラビがププに向かって、片方の手を腰にやり、反対の手は親指を立てて、グッドサインをやった。いや、ラビの指じゃ、親指を立てるなんて事はできないけど、本当にそんな風に見えるような格好をしたんだよ。
どうも、ププちゃんの肥料の混ぜ方は、ほぼ合格だったらしいんだけど、少しだけダメな部分があったらしく、それをラビが教えてくれて。その後にププちゃんがやったら、ちゃんとできていたから、グッドサインを貰ったようだ。
“お、ラビ隊長のチェックが入った”
“隊長?”
“ああ、畑の配信の時は、畑大好きラビたんが隊長で、色々チェックするんだよ”
“けっこう細かくチェックするんだぜ”
“そうそう、だからさっき拓哉さんはドロップキックを受けなかったけど”
“この後何回かあるチェックによってはなぁ”
“まだ可能性が残ってるってことさw”
“危険は脱していなかったのかw”
そう。畑に関してはラビが隊長で、俺なんてぜんぜん。最近はないけど、前までなんてずっと俺に張り付いて、チェックしていたくらいだ。
“ほら、チェックに行くぞ”
“今日は大丈夫か?”
“よし、やるんだ!!”
やるんだって何だよ。ププちゃんのチェックが終わったラビ。今度は俺の方へ来て、俺の肥料混ぜのチェックをする。そしてププちゃんの時よりも、すぐに俺を止めて、ラビが肥料混ぜの見本を俺に見せる。その後は仕草で俺に、さぁ、やってみろっと言ってきて。俺はすぐに肥料を混ぜたけど……。
「……何だよ、その顔は」
『きゅいぃぃぃ……』
“!?”
“ラビたんの、こいつダメだな顔、いただきましたw”
“そんな悲観そうな顔しなくてもw”
“www”
“やば、お腹痛いwww”
視聴者さんの言う通りラビは今、こいつ教えてもこれかよって、残念そうな顔で俺の事を見てきていた。
「いやいや、そんな顔するなよ。お前のやった通りにやったんだぞ?」
『きゅう……、きゅい』
今度は、これで同じ? うん、そうかそうかって優しい顔で言われた。もしも俺の肩にラビが手を乗せていたら、かなり俺のことを、哀れんでいるように見えるんじゃないか、ってほどだ。
「いやいや、俺はしっかり混ぜているからな!」
『きゅう……、きゅ!!』
ラビがため息を吐く。が、すぐに何かを思いついたのか晴翔の方を向いた。そして晴翔に肥料混ぜをやってみろって言ったんだ。
「まったく撮影中なのに。すみません皆さん。ラビが晴翔を呼んだので、少しだけ同じ映像が流れることになります」
視聴者さんに断りを入れてから、晴翔がすぐにカメラスタンドにカメラを設置して、俺達の方へ来る。そしてラビに肥料を混ぜてみろと言われると、肥料混ぜ初めて。
5分くらい混ぜた頃、ラビのチェックが入った。その結果は……? ププちゃんと同じで合格だった。
“www”
“1人だけ不合格www”
“やば、ウケるwww”
“魔獣に不合格をもらう保護者w”
“www”
“笑いすぎて息がw”
“何が違うのwww”
まったくだ。俺とププちゃんと晴翔で、何が違うんだよ! 俺が不機嫌になっていると、ラビが俺の肥料と、ププちゃんと晴翔の肥料を寄せた。するとある事が判明して。
俺の肥料の方は平べったいっていうか、空気が入っていないっていうか。ププちゃん達の方は、肥料がふんわりとしていたんだ。
「タク、これが違いだよ。お前の肥料は硬すぎるんだ」
『ぷぷ~!』
「柔らかい肥料の方がよく育つんだってさ」
「何でお前がそれを知ってるんだよ」
「俺が大好きなラビ達の、言いたいことが分からないと思うか? 家で練習したんだよ」
「練習?」
「ああ、俺は合格を貰えるまで、ずっとな。俺が魔獣達のために、練習しないわけがないだろう」
晴翔お前、いつの間に?
「だからお前も、しっかり練習した方が良いぞ」
『ぷ~ぷ~』
『きゅいきゅい』
俺以外のみんなが頷く。くっ、晴翔の裏切り者め。
“1人取り残される保護者w”
“1番下で草”
“しっかり練習しないとw”
“そうそう、可愛いラビたん達に迷惑かけないように!”
“やれやれ顔のラビたんもかわいぃぃぃ!!”
何だよ。俺の肥料混ぜは普通だろう! ププちゃんと晴翔がラビ並みなのがおかしいんだ。そう、俺は普通なんだ!!
晴翔がカメラマンに戻り、その後俺は。ラビとププちゃんに見られながら、何とかドロップキックは受けずに、肥料混ぜは終了した。ラビによると最低限だとさ。ふんっ。
次はみんなで畑を耕した後、肥料を混ぜていく。広い畑だけど、色々作りたいってことで、かなり細かく畑を分けてあり。使う分だけ耕せば良いから、そんなに時間をかけなくて済むのがいい。
1つが畳9畳分くらいか。今回は2つ分を使って植えていく予定だ。ラビの好きな物は、たくさん育ててやりたいからな。と、思っている俺への、ラビの畑に関する対応はかなり厳しいが……。
まぁだけど、肥料を混ぜた後は、チェックが入ってもそこまで文句を言われずに、肥料を混ぜ終えることができ、ホッとする俺。
“残念だなぁ”
“ラビなら厳しく、行ってくれると思ったんだけどなぁw”
“まぁまぁ、次はラビたんのあれだから”
“その後もチャンスはあるし”
俺は絶対ドロップキックは受けないぞ!! そうそして、この後は視聴者さん達お待ちかねの、ラビの種蒔きタイムの始まりだ。
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